研究課題/領域番号 |
23591993
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
水口 徹 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30347174)
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研究分担者 |
平田 公一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50136959)
三高 俊広 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50231618)
中村 幸雄 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50516648)
川本 雅樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70404605)
目黒 誠 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50448601)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肝機能 / アミノ酸 / 腹腔鏡 |
研究概要 |
ヒト肝細胞の採取においては、ドナーに対して低侵襲かつ安全な採取法が望まれる。腹腔鏡下肝切除術は創部が小さく、身体的負担は軽減されているものと思われているが、十分な証明には至っていない。手術法として学習曲線の発展段階にあり、結論を導くことは困難であるが2000年からの報告においてメタ解析を行い、有用性や有効性に関して検証した (Mizuguchi T, et al. Surg Today. 2011;41:39-47)。腹腔鏡下肝切除術は、手術時間が長く周術期には身体的負担が開腹手術よりも大きい可能性はあるが、出血量や合併症が少なく回復の早いことが証明された。ヒト幹細胞移植のドナー細胞採取では腹腔鏡下肝切除術が有効であることが示唆された。次に肝再生置換療法の確立には肝細胞機能を生体内で改善させることも重要で、アミノ酸による治療介入によってどのような臨床効果が期待されるのかを予測するため、BTRの臨床的意義に関して研究した (Mizuguchi T, et al. J Gastrointest Surg. 2011;15:1433-9)。アルブミン値は高いがBTRの低い患者群はアミノ酸インバランスを呈しているが、長期予後には影響しないものの腫瘍再発が早期におきることが判明した。次に肝機能の評価法は多種多様であり、機能因子間の相互関係も不明であった。これらにクラスター解析を行うことで、新規の肝機能分類を考案した(Nakamura Y, Mizuguchi T, et al. Surgery. 2011;150:250-62)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト小型肝細胞の分離や機能評価に関する研究は、本年度の目標として論文化も済んでおり十分な達成度と考えている。一方で、肝再生置換療法の確立に関する研究では、特殊アミノ酸食による肝硬変モデルを作成し、新規の再生置換モデルの開発に成功したが、論文は投稿中でありアクセプトには至っていない点では不十分ともいえる。双方を鑑みると、発表した論文の質と数は十分に納得できるものと思っている。
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今後の研究の推進方策 |
ドナー細胞の採取には腹腔鏡下肝切除術は望ましいが、安全性に不安が残っている。開腹肝切除術と違って、切離中の出血に対応する方法の開発が必要である。肝血流制御装置は、腹腔鏡下肝切除術においても開腹手術と遜色ないほどの血流制御が可能と思われ、これを歴史的研究ではあるが肝血流制御装置の開発前後で術式の変化や周術期の成績を比較検討する予定である。次に、肝再生置換療法は肝硬変に伴う肝機能悪化例に対して有効に肝機能改善を企図している。そこで、肝硬変に至っているもので肝再生置換療法の期待される臨床効果を明らかにすることを目的とした臨床研究を予定している。肝硬変症例における周術期の合併症を明らかにして、非肝硬変症例と比較することで、期待される臨床効果を明らかにする。次に、特殊アミノ酸による肝再生置換療モデルの作成には成功したので、ヒト肝細胞によるキメラマウスの開発において、この新規の肝再生置換モデルを併用した研究を行いたい。ラットの実験ではタンパクXやタンパクは移植後の早期にドナー細胞やレシピエント細胞に発現しており、これらの発現様式は本来の肝細胞索に並列しており、細胞―細胞間の連携も形態学的には証明できている。この同様の現象がキメラマウスで証明できれば、将来のキメラ治療やゼノグラフト治療にも応用可能な方法で、本年度で取り掛かりたいと思っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品(試薬一式、データ解析など)、成果発表のための旅費、論文校正や投稿に関する謝金など
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