研究実績の概要 |
肝細胞癌における血清自己抗体を用いた新しい検査方法を確立することが目的である。平成23年には、標的分子を固相化したELISAキットを完成し、平成24年度は主としてその診断能力の評価を行った。平成25年度には、血清抗体陽性と陰性の症例での臨床病理学的因子との相関関係を検討した。1年間の研究期間延長により、平成26年度は研究計画を上回る症例数の解析を行うことができた。解析対象は、東邦大学医療センター大森病院で入院・加療した肝細胞癌患者の血清を、文書により本人の了解を得て収集保存した症例である。平成26年度には、RalA, Sui1, p62の3種類のELISAキットを使用して、同一サンプルを解析して、それぞれの血清抗体価を測定した。健常者血清におけるELISA測定レベルの平均値+3SDを基準値とした。基準値を上回る症例を陽性と診断した。その結果、肝細胞癌患者における血清抗体陽性率はRalA=17%, Sui1=6%, p62=9%であった。作成したELISAキットを利用し、前向きに血液サンプルを収集し、その性能を評価するための多施設研究を実施して、平成26年度内に肝細胞癌の血液サンプルを合計85症例収集した。切除症例については、免疫染色の目的で切除標本から組織アレイを作成した。
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