研究課題/領域番号 |
23592003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 琢 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30302722)
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研究分担者 |
長谷川 潔 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20292906)
國土 典宏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00205361)
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80273358)
松下 博和 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80597782)
中面 哲也 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, 機能再生室長 (30343354)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 膵癌 / ワクチン治療 / 化学療法 / HSP105 |
研究概要 |
HSP105ワクチンを用いた悪性腫瘍治療はヒトにおいては今回初の試みであり、まずその安全性を検討するためのphase I studyが必要であると考えられたため、まず安全性評価を目的とした多施設共同研究が開始された。膵癌を対象とした本研究も、抗癌剤との併用療法施行の前に、まずこのstudyに適格患者をエントリーする方針とした。すなわち、抗癌剤治療が無効となった膵癌術後再発患者をエントリー、HSP105ワクチン治療を開始し、その安全性を検証することとした。 今年度に、多施設共同研究全体で9名の患者エントリー(泌尿器科領域4名、食道癌2名、大腸癌、乳癌各1名)があり、膵癌患者も1名がエントリーした。施行前検査で、膵腫瘍内にHSP105発現が確認され、また患者のHLAも適合したため、適格と判定され、2012年4月より治療開始予定となっている。 当初の研究予定では、膵癌再発患者全体を対象に、化学療法とワクチン治療の併用療法を開始する予定となっていたが、同ワクチン治療を予定していた多施設と歩調を合わせて、まずはphase I studyに参加することとなった。したがって、本年度に研究計画通りのプロトコールに参加した膵癌患者は0名となったが、安全性確認も重要なステップであり、、このphase I studyが無事に終了し次第、当初の研究計画の実施へと進み、再発膵癌患者への新たな治療の試みを開始することができるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HSP105ワクチンの使用はFirst in human studyであるため、安全性を確認することが最重要であると考えられた。そのため、多施設共同のphase I studyにまず参加することとした。膵癌に関しては、まずこのphase I studyが終了し、安全性が確認された後に、当初の研究計画を遂行する手順を踏むこととなったため、初年度の研究開始とはならなかった。しかし、膵癌患者ではないものの、すでに4名の患者にHSP105ペプチドパルス樹状細胞を投与し、安全性を検討することができた点は、大きな進捗であると考えられ、また膵癌患者を対象としたphase II試験も、平成24年度には研究計画が開始できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
多施設共同phase I studyに対象患者をエントリーし、まず同研究の終了を目指す。その後、再発膵癌症例を対象としたphase II studyとして本研究の開始を目指す。本研究の開始に当たって、従来の膵癌治療(術後補助療法および再発治療)を総括し、国内外の学会で発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、従来の膵癌治療のまとめの発表および他施設の研究進捗状況を学ぶ目的で、国際学会に出席する予定であり、そのための旅費を計上した。研究費の他の部分は、患者の免疫モニタリング、免疫染色、細胞培養に用いる薬品、消耗品の購入、また論文作成のための諸費用などに充てる予定である。
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