研究課題/領域番号 |
23592003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 琢 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30302722)
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研究分担者 |
長谷川 潔 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20292906)
國土 典宏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00205361)
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80273358)
松下 博和 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80597782)
中面 哲也 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, 機能再生室長 (30343354)
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キーワード | 膵癌 / 樹状ワクチン治療 / HSP105 / 用量漸増試験 / 有害事象 / 有効性 / 免疫学的評価 |
研究概要 |
HSP105由来ペプチドパルス樹状細胞(DC)ワクチン治療の第一相臨床試験を行った。対象は進行・再発がん患者で、免疫染色にてHSP105の発現が確認され、HLA-A2またはHLA-A24を有する患者である。DCは5x106細胞/回(ステップ1)、1x107細胞/回(ステップ2)、2x107細胞/回(ステップ3)を2週間隔で計4回投与する用量漸増試験とした。各ステップにそれぞれ3例割り付け、HSP105CD8陽性T細胞反応が検出された用量でさらに症例を追加することとした。 ステップ1では原疾患の悪化によりDC投与を完遂出来なかった症例が2例存在し、2例を追加し5例で行った。内訳は膀胱癌3例、食道癌1例、大腸癌1例であり、有害事象はCTCAE grade2までに留まり、重篤なものはなかった。有効性はSD2例、PD3例であった。HSP105特異的CD8陽性T細胞の検出は全例不能であった。ステップ2ではPS0-1の患者を対象とし、乳癌、大腸癌、食道癌各1例に投与を行った。全例投与を完遂、また有害事象はCTCAE grade2までに留まり、重篤なものはなかった。有効性はSD1例、PD2例であった。ステップ2では投与部位のDTH反応を認め、T細胞の誘導が確認された。ステップ3では、膵癌1例、大腸癌1例、食道癌4例の計6例に投与を行った(投与中症例を含む)。膵癌症例は治療は完遂したものの、効果はPDであった。やはり投与部位でのT細胞の誘導は確認できたが、HSP105ペプチド特異的な反応の検出が困難な状況であり、解析法を改良し、再検討を行う予定である。 このように計14例に投与を行ったが、投与に至らなかった症例が14例あり、膵癌症例3例が投与に至らなかったため、膵癌に対する投与例は1例に留まった。その1例もPDであり、再発膵癌に対するHSP105ペプチドワクチンの有効性の評価にはさらなる検討が必要である。
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