研究課題/領域番号 |
23592009
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西崎 正彦 岡山大学, 大学病院, 助教 (30379789)
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研究分担者 |
藤原 俊義 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00304303)
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キーワード | FHIT / PKC / 膵癌 |
研究概要 |
23年度に行った実験の続きとして、EZRINの発現量が最も多く、細胞増殖能および浸潤能も強いS2-VP10を用い、in vitroの実験を行った。 FHIT発現アデノウイルスベクター(Ad-FHIT)、コントロールしてPBS、LacZ発現アデノウイルスベクター(Ad-LacZ)をS2-VP10に1000MOIで感染させ48時間にinvasion assayを行い、Ad-FHIT感染細胞のみ浸潤能の減少を確認した。また同様に48時間後の細胞質成分を用い、抗EZRIN抗体により免疫沈降(IP)を行い、抗リン酸化チロシン抗体、抗リン酸化スレオニン抗体でIBを行い、EZRINのリン酸基の変化をWestern blot(WB)法で検討した。EZRINのチロシン基のリン酸化はコントロール群、Ad-FHIT感染細胞で共に変化なかったが、スレオニン基のリン酸化はコントロール群では変化なく、Ad-FHIT感染細胞のみ100%阻害されていた。また同時に抗Actin抗体でWBを行うとAd-FHIT感染細胞でのみFHITとActinの結合が阻害されている結果が得られた。抗Actin抗体でIPを行い、抗EZRIN抗体でWBを行った結果も同様に、Ad-FHIT感染細胞のみActinとEZRINの結合が阻害されていることが証明された。このことと前年度の結果より、FHIT過剰発現によりFHITとPKCが結合し、PKCによるEZRINのスレオニン基のリン酸化が阻害され、FHITとActinの結合も詐害されることにより、S2-VP10細胞の浸潤能が阻害されている可能性が強く示唆された。 現在S2-VP10細胞を用い、肺転移モデルを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
S2-VP10細胞はアデノウイルスでも1000MOIと比較的高いウイルス濃度でなければ感染効率を上げることができない細胞であったため、アデノウイルスと平行でin Vitro実験を行う予定であったプラスミドの導入効率が期待していたほど上がらず、現在導入方法の改善をおこなっている最中である。アデノウイルスを用いた研究はin Vivo実験を残すのみとなり、やや遅れているが次年度には達成できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
すでにアデノウイルスを用いたin Vivo実験に移行しており、S2-VP10細胞を用いた肺転移モデルが確立し次第治療研究を行い、FHIT遺伝子治療が転移を抑制するかどうかを検証する。また、生理的条件に近いプラスミドを用いた実験も続ける予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究材料は計画通りであり、研究費の使用計画に変更はない。
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