研究課題/領域番号 |
23592012
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
冨永 洋平 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (90304823)
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研究分担者 |
佐藤 典宏 産業医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20423527)
上田 純二 九州大学, 大学病院, 助教 (90529801)
難波江 俊永 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (10467889)
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キーワード | 膵癌 / miRNA / IPMN |
研究概要 |
膵癌において様々な研究が行われており、miRNAについてその発現・機能解析が広く行われている。しかし、近年癌間質相互作用という概念が中心となってきていることから癌間質相互作用において重要な役割を担う膵星細胞関連のmiRNA発現・機能解析を行うことが本研究の目的となっている。 これまで癌関連PSCsにおけるmiRNAの発現プロファイリングのため、膵癌組織由来PSCsの樹立を行い、その癌間質相互作用に関しての解析を行い、Arrayを行うPSCsを選択した。癌間質相互作用に他の癌腫で関与が報告されている、miR31、 miR204、 miR34a、miR21、miR200cなどのmicroRNAに関して、膵癌由来PSCsでの発現解析を行った。その結果、miR31の癌由来のPSCsで発現が増加していることを認めた。 miR204は膵星細胞で癌細胞と同程度の発現を認めたが、癌由来と正常由来の膵星細胞の間で明らかな傾向は認められなかった。 miR34aは癌細胞と比較して正常由来の膵星細胞で発現の増加を認め、さらに癌由来の膵星細胞で発現の増加を認めた。 miR21は正常由来膵星細胞より癌由来膵星細胞で発現の低下を認めた。miR200cは正常由来膵星細胞と癌由来膵星細胞とで明らかな差は認められなかった。 今年度は膵癌の間質のみならず前癌状態といわれているIPMNのサブタイプにおけるmiRNAの評価を行った。腸上皮化生組織や大腸癌では発現が上昇しているmiRNA196aに着目し検討を行った。腸型IPMNはそれ以外のIPMNに比してmiRNA196aが高発現していることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
microRNAの発現プロファイリングを行う膵癌由来の星細胞選択に難渋している。また、これまで発現解析を行ったmiRNAの機能解析について十分に検討の余地がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、IPMNの亜型について更なる検討を行っていく。そこより前癌状態から発癌へと至る過程でmiRNAが間質にどのように関与するか検討する。 また、当研究室で作成した放射線耐性膵癌細胞株について親株との比較としてmiRNAの評価を行うことを検討している。さらに癌間質との放射線耐性の評価も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の遂行に必要な主要装置(フローサイトメーター、in vivo蛍光イメージャー、リアルタイムPCR, 蛍光顕微鏡、遺伝子導入装置、バイオアナライザー、ナノドロップなど)は既に研究室内に設置されている。この他の機器(共焦点レーザー顕微鏡、透過型電子顕微鏡、DNAシークエンサーなど)については学内の研究支援センターにおいて利用可能であり、現在の研究遂行に支障はない。また固形癌に適した高額なセルソーターが必要となる場合もあるがすでに学内の研究支援センターにおいて2台使用できる環境にあり特に新規に購入する必要はない。このため研究経費において新たな設備備品の購入は不要である。消耗品においては qRT-PCRを行うための試薬やプライマーの購入、ソート用モノクローナル抗体, ソート時の使用試薬、Nucleofector用導入試薬、shRNA/レトロウイルス作成キット、マウス等 を実験遂行において購入を予定している。
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