研究課題/領域番号 |
23592013
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
難波江 俊永 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (10467889)
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研究分担者 |
佐藤 典宏 産業医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20423527)
大塚 隆生 九州大学, 大学病院, 助教 (20372766)
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キーワード | 膵臓癌 / 膵星細胞 / PSC / phenotype |
研究概要 |
近年膵臓癌において様々な研究が行われているが、膵臓癌は他の固形癌より間質の増生頻度が高く(desmoplasia)、癌間質相互作用という概念が注目されている。癌細胞の悪性度のみならず間質が重要な働きを行い、今後の治療目標となる可能性が指摘されている。癌間質相互作用により増殖、浸潤、転移、抗癌剤治療耐性などが増すことが報告されており、当研究室でも膵臓癌の間質について研究を行ってきた。また、その間質の中でも特に膵星細胞と呼ばれる膵の線維化を中心になって担う細胞群に着目して研究を行った。 本研究では膵癌の治療抵抗性や遠隔転移に関わる膵星細胞のphenotypeの解析を進め、その役割を解明した上で、特定の膵星細胞を治療標的とした膵癌の新たな治療戦略を創造することを目的としている。以前より進めてきたヒト膵癌組織からの膵星細胞の樹立をさらに進め、現在当研究室では50株以上を樹立し所有するに至った。それらに対し、膵癌細胞に特に影響を与える膵星細胞のマーカーとして期待されるCD10、CD29、CD44、CD90、CD105、CD117、CD271、CD280、Stro-1、VEGFR1などの多数の表面マーカーの発現解析を行った。CD10は癌細胞の浸潤能などの悪性度に寄与する因子と判明した。また、さらにCD271は予後良好因子となる可能性が示唆された。その他にポドプラニンやCD90についても評価を行った。本年度は、膵星細胞と癌細胞の共存における機能解析をさらに進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵星細胞の更なる機能解析を現在進めており、また当研究室では膵星細胞のセルソーターおよびAutoMACsを用いた分取技術を確立している。CD10やCD271などについては順調に評価が可能であったが、これらの表面マーカーについて詳細な機能解析については今後の余地があると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの実験に加え抗癌剤への影響(化学療法耐性)についての評価や表面マーカーのdownregulationを目的としたshRNAの導入を行いin vivoでの評価を更に行っていく。他の表面マーカーについての検討も行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後は、transgenic mouse(遺伝子組み換えマウス)の導入を検討する。そこで、shRNAなどを作成導入し、in vivoにおける抑制実験を目指す。さらに、癌間質相互作用に関わる他の表面マーカーについても評価を行う。
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