研究分担者 |
中原 修 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (40583042)
大村谷 昌樹 熊本大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60398229)
坂本 快郎 熊本大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00452897)
堀野 敬 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (60452900)
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研究概要 |
まず、膵癌細胞株においてmRNAと蛋白レベルにおけるEZH2の発現の検討を行った。ヒト樹立膵癌細胞株8種類(PANC-1, PK8, PK9, PK-59, KLM-1, MIA Paca2, PK-45P, Hs-700T)、すべてにおいてmRNAレベルおよび蛋白レベルにおいてEZH2の発現上昇を認めた。EZH2は膵癌の悪性化において重要な因子であることが示唆された。 次に、54例のIPMN切除症例より、正常膵管、IPMA、Borderline IPMN、上皮内癌、浸潤癌の病変をそれぞれ48、50、53、19、11病変同定した。EZH2の核での発現はIPMNの進展に伴い上昇した。また、増殖能を表すKi67の免疫染色を行ったところKi67とEZH2の発現に相関を認めた(R2 = 0.523、p < 0.0001)。また、癌抑制遺伝子p27Kip1、p21WAF1、PTENの免疫染色を行ったところ、p27Kip1は段階的に発現が低下した。正常膵管 、Borderline IPMN、上皮内癌、浸潤癌からそれぞれ4、11、5、4病変からRNAを抽出し、real time PCRを行った。IPMNの進展に伴い、EZH2およびp27Kip1は免疫染色と同様の変化を認め、逆相関を認めた(R2 =0.213, p = 0.0231)。EZH2はp27Kip1を介してIPMNの増殖を制御していることが示唆された。 また、癌細胞株MIA Paca2に対してmiR-101の導入を行ったところEZH2のタンパクレベルでの発現は抑制された。一方、Anti-miR-101を導入するとEZH2蛋白の発現は上昇した。また、良性IPMNに比較して、悪性IPMNにおいては有意にmiR-101が低下していた(p = 0.009)このことはmiR-101がEZH2を正に制御していていることが示唆された。
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