研究課題/領域番号 |
23592016
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
杉田 裕樹 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (30398218)
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研究分担者 |
高森 啓史 熊本大学, 医学部附属病院, その他 (90363514)
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キーワード | NO / IGF-I / EGFR / IRS-1 / MEK / MAPK / 増殖シグナル / 癌 |
研究概要 |
これまでの研究でNOがIGF-I/insulin receptorおよびEGFRのリン酸化をも抑制することを確認したがそのメカニズムについてはいまだ解明されていない。本研究においては、これらの分子生物学的メカニズムを解明すると同時に、in vivoにおいてNOドナーによる癌治療の有効性とそのメカニズムについて検証することである。NOによるInsulin receptor substrate-1(IRS-1)の制御のメカニズムを解明するために、IRS-1蛋白と結合する蛋白がIRS-1の発現およびリン酸化を制御するという仮説の下、Yeast two hybrid assayを行った。IRS-1をbaitとし、これをYeastにて発現させcDNA libraryを遺伝子導入し発現させた未知の蛋白を釣り上げたのである。これにより、8個の蛋白が候補に上った。これらの蛋白のほとんどが細胞膜近くにて増殖シグナルに関与すると思われるものであった。今後はこれらの蛋白を一つ一つ機能解析し、IRS-1制御のメカニズムを解明する予定である。 また、NOおよびMEK inhibitorの同時投与による癌増殖抑制のメカニズムの解明において、各種のMEK inhibitorによる違いが明らかとなった。これは、MAPKの抑制によるフェードバック機構の解明においてきわめて重要である。臨床において癌の治療としてのMEK inhibitorが有効でない癌種があるが、その理由はこういったフェードバック機構によるものかもしれない。現在更なる実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Yeast Two Hybrid Assayでは予想以上に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
Yeast two hybrid assayにて同定された蛋白は①GST fusion proteinを作成し、GST pull down assayを行う。②哺乳類細胞に強発現させ免疫沈降によるbinding assayを行い、IRS-1との結合を確かめることが重要である。その後に、機能解析を行う。 IGF-IR, EGFRリン酸化のNOによる制御のメカニズムの解明は①ビオチンスイッチ法でS-nitrosylationを同定する。③NOによるRTKリン酸化抑制系にS-nitrosylationを抑制するDTT添加によりによりS-nitrosylationおよびこれらreceptorのリン酸化への影響を確認する。④IGF-IR, EGFRに結合する蛋白を同定する(Yeast two hybrid assay)を予定している。 In vivoにおけるNO donor +MEK inhibitorの癌増殖抑制効果の検討については進行が遅れている。これには時間と費用の問題がかかわっている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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