研究課題/領域番号 |
23592017
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
志村 龍男 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (00282393)
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研究分担者 |
柴田 昌彦 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10226178)
竹之下 誠一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10167489)
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キーワード | galectin-3 / AMF / 膵癌 / IPMC |
研究概要 |
IPMN88例を対象とし、galectin-3を免疫染色し、予後因子の検討を行った。 IPMNの内訳は主膵管型(MD-IPMN)42例、分枝膵管型(BD-IPMN)25例、IPMC21例であった。手術適応はMD-IPMNの全てとBD-IPMNではガイドラインの適応に腫瘍増大傾向を加えたものとした。臨床病理学的因子(症状、径、占拠部位、主膵管拡張、壁在結節、多臓器癌の合併、膵管癌の合併など)の比較、IPMCにおいてはその予後因子の検討を行った。また、膵管癌との関連で注目されたgalectin-3の免疫組織学的検討を同時期に手術された31例の膵管癌とともに行った。 全良性IPMN(67例)とIPMC(21例)の比較では、腫瘍径(IPMN vs. IPMC: 2.4±1.4 cm vs. 4.1±2.0 cm、p < 0.0001)、壁在結節の有無(IPMN vs. IPMC: 4.5% vs. 38.1%, p = 0.0003)、膵管癌の合併(IPMN vs. IPMC: 1.5% vs. 23.8%、p = 0.0026)で有意差を認めた。IPMCと予後因子の検討では単変量解析においてstage III or IV(p = 0.020)、T3+4(p =0.015)、ly陽性(p = 0.010)、v陽性(p < 0.0001)、n陽性(p = 0.040)、galectin-3高陽性(p = 0.032)が予後不良因子であり、Cox比例ハザードモデルの検討ではgalectin-3高発現が予後不良因子である可能性が示された。IPMCの5年生存率は64.2%、膵管癌は12.9%であったが、単変量解析での予後不良因子を認める症例の生存率は膵管癌と有意差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroにおいて膵癌細胞株の抗癌剤耐性とgalectin-3発現との関連については概ね解明できている。臨床症例での検討では、膵管癌とgalectin-3の発現状態との関連では既報の様な関連性が見いだせなかったが、膵管内乳頭粘液腺癌においてgalectin-3が予後紳士となりうることを解明できた。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroにおいて膵癌細胞株の抗癌剤耐性とgalectin-3発現との関連については概ね解明できている。臨床症例での検討では、膵管癌とgalectin-3の発現状態との関連では既報の様な関連性が見いだせなかったが、膵管内乳頭粘液腺癌においてgalectin-3が予後紳士となりうることを解明できた。今後はin vitroにおいて、膵癌細胞株とAMFとの関連について検討を進めていくとともに、できればAMFとgalectin-3との相互関係についての検討を進めていきたい。前年度は免疫染色と臨床症例での検討を主に行ったため新規購入の消耗品がELISA関連のものだけになったため研究費が残っている状態である。 今年度はin vitroでの実験を進めていくため、遺伝子関連消耗品や細胞培養関連消耗品の購入額が増える予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
GST-fusion proteinの形でgalectin-3を精製していく予定である。また、RT-PCRや遺伝子関連実験を予定しており関連の消耗品を購入予定である。 臨床病理学的検討をさらに進めていくために肝胆膵領域の標本においてさらに免疫染色を行っていく予定である。 また、本年度が最終年度であるので、学会報告、論文発表を進めていくとともに最終報告書の作成費用が必要となる予定である。
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