研究課題
【背景】galectin-3 (gal-3) は31kDaのβ-ガラクトシド結合蛋白質で細胞表面の糖蛋白や糖脂質と結合する。膵癌ではAktはapoptosisに重要な働きをしていることが報告されている。今回われわれは、gal-3が膵癌においてどのような役割を演じているか、また、抗癌剤耐性にも関与するのか解析し、新たな治療の標的因子になり得るのか検討した。 【方法】膵癌細胞株を使用し、siRNAによりGal-3をknock downしたcell lineを作成した。この細胞株を用いて1)増殖能、運動能、浸潤能を解析し、2)gemcitabine、CDDPを使用してapoptosisを誘導、flow cytometryにて解析。3)apoptosisに関わる因子(Aktなど)の発現の変化を調べ、gal-3がapoptosis pathwayのどの部分に関わっているのかを検討した。【結果】siRNAによるgal-3の抑制で運動能、浸潤能ともに低下した。この低下にはβ-cateninの発現低下が関与していることが示唆された。gal-3の抑制によるapoptosis耐性の変化では、細胞株でcontrol+GEMよりsi-gal-3+GEMでapoptosisの割合が有意に増加した。Apoptosis pathwayにおけるGal-3作用部位の解析ではAKTのリン酸化の抑制が認められた。ミトコンドリア膜電位の変化では、gal-3抑制株にてミトコンドリアの脱分極の割合が有意に増加した。【結語】gal-3をknock downすることにより、抗癌剤感受性の上昇が認められた。Signal解析からapoptosisはミトコンドリア経由であり、gal-3抑制細胞におけるpAktの低下が誘引となり、ミトコンドリアの脱分極が生じたためと思われた。
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