研究課題
膵癌ではMoniaux N et al.が免疫染色により,早期膵癌でLcn2発現が増強すること(early biomarker)を報告している.膵癌の新しいbiomarkerとなりうるか,臨床検体(膵液)を採取して検討した.これは研究協力者であるMD Anderson Cancer CenterのSushovan Guhaと協力して行った.正常膵(NL)21症例,慢性膵炎(CP)23症例,膵癌(PC)52症例の合計96症例の膵液中のLcn2とMMP-9/Lcn2 complexの濃度を測定した.Lcn2のレベルは、CP群とNL群(p values=0.0041)、PC群とNL群(p values=0.0035)で有意な差を認めた。CP群とPC群については、PC群でLcn2が高い傾向があった(p values=0.0816).MMP-9/Lcn2 Complexのレベルは、PC群とNL群で有意な差を認めたが(p values=0.0004)CP群とPC群の間には、有意差は得られなかった.Lcn2のレベルは、慢性膵炎および膵癌の存在を検出するのに役立つ可能性が示唆された.一方で,Lcn2は早期で発現が増強し,進行すると減弱すると報告されている(Moniaux N et al).われわれは以前から膵癌血管新生に着目しており,Lcn2の血管新生への関与を検討した. Lcn2の強制発現により膵癌からのVEGF分泌の低下を認めた.これは,膵癌では,進行とともにLcn2の発現が低下し,その結果腫瘍血管新生の亢進が起こり,腫瘍増殖を亢進する可能性が示唆された.以上より,膵癌においては,Lcn2はbiomarkerと抗血管新生作用の働きがあり,これらの解明が膵癌の診断,治療へと応用される可能性が示唆された.
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