研究概要 |
健常人末梢血単核球をα-GalCer刺激してα-GalCer特異的ヒトVα24 インバリアントNKT (iNKT) 細胞の増殖を誘導した。これからVα24+Vβ11+6B11+ヒトiNKT細胞を分離して7-9日おきに複数回刺激することで株化した。このiNKT細胞にCD8α/β鎖遺伝子、およびがん抗原 (MAGE-A4) 特異的TCRα/β鎖遺伝子をレトロウィルスを用いて導入した。CD8α/β鎖、TCRα/β鎖の発現はCD8α鎖、CD8β鎖に対する抗体、およびHLAテトラマーを用いたフローサイトメトリーにより確認した。さらにがん抗原特異的TCRを発現するCD4+CD8β- (CD4+ iNKT細胞サブセット), CD4-CD8β- (double negative (DN) iNKT細胞サブセット) を分離した。これらのiNKT細胞サブセットは、がん抗原特異的TCRの他に、α-GalCerを特異的に認識する内因性のインバリアントTCRを保持していた。一方、健常人末梢血単核球よりCD14陽性細胞を磁気分離してIL-4, GM-CSF存在下培養することでヒトモノサイト由来樹状細胞 (DC) を誘導した。がん抗原特異的TCR発現CD4+ iNKT細胞とDCとの共培養において、がん特異抗原ペプチド (MAGE-A4ペプチド) を負荷したDCは、IL-12p70を産生しなかったが、α-GalCerを負荷したDCは、野生型のiNKT細胞を用いた場合の5倍以上のIL-12p70を産生した。この観察は、DN iNKT細胞をベースとしたものを用いた場合では観察されなかった。がん抗原特異的TCRを発現するCD4+ iNKT細胞は、α-GalCer特異的にDCのIL-12p70産生を促進する細胞アジュバントとしての機能に優れ、がん患者に認められる免疫抑制状態を解除しうることが示唆された。
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次年度の研究費の使用計画 |
異なるiNKT細胞サブセットをベースとしたエフェクター細胞が、DCに賦与する機能的修飾(アジュバント効果)を評価する。検討項目は、DCにおける液性因子 (IL-10, IL-12, IL-23, IL-27, VEGF, sVEGFR) の産生、DCの成熟マーカー (CD83, CD86など) の発現である(ELISA, フローサイトメトリー, リアルタイムPCR)。一方、ルシフェラーゼ遺伝子導入がん細胞株を作製して、Balb/c-RJ (RAG2null, JAK3null) マウスに移植する。これに各種エフェクター細胞を輸注して抗腫瘍効果を比較検討する。抗腫瘍効果は、生存率、腫瘍形成の有無、腫瘍径を計測するなどにより判定する。したがって、これらを解析する為の試薬(DC誘導試薬・サイトカイン・抗体・ELISA関連試薬・リアルタイムPCR関連試薬)、およびマウス飼料などを購入して研究を実施する。
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