研究課題
健常人末梢血単核球をα-GalCer刺激してα-GalCer特異的インバリアントNKT (iNKT) 細胞株を樹立した。このiNKT細胞は、CD4+CD8β- (CD4サブセット)とCD4-CD8β- (double negative (DN) サブセット) の2つの主要なサブセットから構成されていた。これにCD8α/β鎖遺伝子、およびがん抗原 (MAGE-A4) 特異的TCRα/β鎖遺伝子を導入した。このiNKT細胞は、導入したがん抗原特異的TCRの他に、α-GalCerを特異的に認識する内因性のインバリアントTCRを保持し、HIVペプチドを負荷したHLA-A24陽性細胞株に細胞傷害性を示さなかったが、がん特異抗原ペプチド (MAGE-A4ペプチド) を負荷したものに対して細胞傷害活性を示した。また、ペプチドの段階希釈により、特にDN iNKT細胞サブセットは強力な細胞傷害活性を示すことが明らかになった。一方、がん抗原特異的TCR発現CD4 iNKT細胞とDCの共培養において、がん特異抗原ペプチド (MAGE-A4ペプチド) を負荷したDCは、IL-12p70を産生しなかったが、α-GalCerを負荷したDCは、野生型のiNKT細胞を用いた場合の5倍以上のIL-12p70を産生した。この観察は、DN iNKT細胞をベースとしたものを用いた場合では認められなかった。がん抗原特異的TCRを発現するCD4 iNKT細胞は、α-GalCer特異的にDCのIL-12p70産生を促進する細胞アジュバントとしての機能に優れ、がん患者に認められる免疫抑制状態を解除しうることが示唆された。以上より、がん抗原特異的TCRを発現するiNKT細胞は、がんに対する細胞傷害活性を示すと共に、DCとの相互作用により強力なアジュバント活性を示し、がんの排除に優れることが明らかになった。
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臨床免疫・アレルギー科
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Hum Immunol
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10.1016/j.humimm.2013.06.030