研究課題/領域番号 |
23592027
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
黄野 皓木 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (40375803)
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研究分担者 |
松宮 護郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20314312)
石坂 透 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (10372616)
石田 敬一 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (40375671)
藤尾 慈 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20359839)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | IL-11 / 心臓血管外科 / 心筋保護効果 |
研究概要 |
本研究は、心筋保護作用を有するサイトカインであるIL-11を用いて、心臓外科領域における心血管病の新規治療法を確立することを目的とする。IL-11は、米国では化学療法後の血小板減少症に対する治療薬として承認されており、安全性の確認が成されていることから、本研究計画では、以下(1)(2)のテーマを中心に研究を進めている:(1)IL-11による心臓摘出後の心筋障害縮小効果、再灌流障害抑制効果および虚血許容時間延長効果に関する検討:動物実験で心臓ドナー・モデルを作成し、心筋保護薬としてIL-11を投与してその効果を見る。(2)IL-11による臨床外科学領域への応用:低心機能手術症例を対象に、IL-11投与群と非投与群の比較検討を行い、その有用性を見る。IL-11は心停止前後に投与する心筋保護薬として用いる。 上記のうち(2)の研究は、(1)の結果を参考にIL-11の投与量、投与方法を決定するため、(1)の研究が完了しない限り開始できない。現在、(1)の研究の進行については、まだ文献調査・研究機材購入・技術習得の段階で、実質的な成果はまだ何も得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の最大の特徴はIL-11による心筋の再灌流障害抑制効果および虚血許容時間延長効果の検討であり、それを遂行するには、虚血に陥った摘出心臓をランゲルドルフ還流システムで再灌流させる必要がある。ランゲルドルフ還流システムは種々のメーカーが出しているが、当初購入予定であったランゲルドルフ還流システムでは機能が不足しており、この機材では研究が困難となることが判明した。本研究遂行上、より高機能のランゲルドルフ還流システムの購入が必要であり、その購入金額は当初の予算を上回るため、次年度予算前倒しによる経費合算で購入する必要性がでてきた。こうした背景に通常臨床業務の多忙さが加わり、研究進行に遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究が未完なため、平成24年度前期(4月~6月)は前年度の実験を継続し、ラットの摘出心臓すなわちドナー心モデ ルの作成を引き続き行う。前倒し請求で得た金額から本研究最重要かつ最高額の機材である高機能ランゲルドルフ還流システムが購入可能と見込んでいるため 、少なくとも研究遂行上の最も大きな障害となる要素が除外される。この実験結果をもとに、ランゲンドルフ還流システムで摘出心臓を再灌流させ、IL-11の虚血再灌流障 害抑制効果および虚血許容時間延長効果を検討する。(具体的な実験方法については変更はないため省略する。)平成25年度はランゲンドルフ還流システムを用いた虚血再灌流障害抑制効果および虚血許容時間延長効果の検討を引き続き行う。その一方で、IL-11による臨床外科領域への応用についても準備(倫理委員会の承認、安全性試験など)を進める。(臨床応用の計画について は変更はないため省力する。)
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の所要見込額は、平成23年度未使用見込額200万円と平成24年度請求額150万円を合わせた350万円であり、その約8割を高機能ランゲンドルフ還流システムの購入にあてられる。残額の分配は、重要度に応じて各必要経費(物品費、人件費、旅費、謝金等)へ割当てられるが、それら経費については出費額は低く研究遂行において大きな障害となる可能性は低い。本研究における高額費用の対象は、ランゲルドルフ還流システム以 外に試薬(IL-11)購入があるが、残額で賄える範囲内と考える。
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