研究課題/領域番号 |
23592027
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
黄野 皓木 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (40375803)
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研究分担者 |
松宮 護郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20314312)
石坂 透 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (10372616)
石田 敬一 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (40375671)
藤尾 慈 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20359839)
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キーワード | IL-11 / 心臓血管外科 / 心筋保護効果 |
研究概要 |
本研究は、心筋保護作用を有するサイトカインであるIL-11を用いて、心臓外科領域における心血管病の新規治療法を確立することを目的とする。IL-11は、米国では化学療法後の血小板減少症に対する治療薬として承認されており、安全性の確認がなされていることから、本研究計画では、以下の(1)(2)のテーマを中心に研究を進めている。 (1)IL-11による心臓摘出後の心筋障害縮小効果、再灌流障害抑制効果および虚血許容時間延長効果に関する検討:小動物実験で心臓ドナー・モデルを作成し、心筋保護薬としてIL-11を投与してその効果を見る。 (2)IL-11による臨床外科学領域への応用:低心機能手術症例を対象に、IL-11投与群と非投与群の比較検討を行い、その有用性を見る。IL-11は心停止前後に投与する心筋保護薬として用いる。 上記のうち(2)の研究は、(1)の結果を参考にIL-11の投与量、投与方法を決定するため、(1)の研究が完了しない限り開始されない。現在の(1)の研究の進行については、文献調査・研究機材購入・技術習得段階が終了し、小動物(ラット)を使った心臓ドナー・モデルも確立でき、IL-11投与群と非投与群に分けてそれぞれの摘出心臓の機能回復の程度を測定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年のランゲンドルフ還流システムの機種選定と購入遅延の一件で研究の進行が大幅に遅れたが、機種購入後は比較的ハイペースで実験が進み、現在は心臓ドナー・モデルが確立し、ランゲンドルフの操作にも慣れ、摘出心の再灌流後心機能回復能の測定が円滑にできるまでになった。このドナー・モデルを用いたIL-11投与群と非投与群の比較研究は現在継続中であり、実験データも確実に蓄積されているが、当初の計画ではこの段階はすでに終了し、測定結果の解析と組織学的検討を開始していなければならない。
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今後の研究の推進方策 |
最近になって実験操作が円滑かつ効率的に行えるようになったが、前年度までの遅れを取り戻すため今年度はさらにハイペースで実験を進める必要がある。具体的には、平成25年度前期(4月~6月)は現在の実験を継続し、心臓ドナー・モデルを用いたIL-11投与群と非投与群の比較実験を引き続き行う。8月までに測定結果の解析と組織学的検討を完了させ、9月中は論文投稿を含めた国内外の発表を行う。その一方でIL-11による臨床外科領域への応用についても準備(倫理委員会の承認、安全性試験など)を進める。研究遂行上の大きな障害となっていたランゲルドルフ機器購入問題は今後も留意する必要がなくなったため、故障・異常・不足等の事象発生がなければ現実験の進行をさらに加速化することは可能であり、軌道にのれば年度内に予定通りIL-11臨床応用が開始できる段階まで研究は進捗すると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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