研究課題/領域番号 |
23592031
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
富田 重之 金沢大学, 大学病院, 助教 (90334771)
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研究分担者 |
渡邊 剛 金沢大学, 医学系, 教授 (60242492)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 神経刺激心停止 / 電気的心筋保護法 / 心筋酸素飽和度 |
研究概要 |
平成20年の科研で,左右上肺静脈近傍のGanglion Plexusを25-30Hz,双極パルス,出力8V,パルス幅0.4msで刺激することで心停止が得られることを確認した.本研究では刺激電極装置の形状をペン型の固定しやすいものとし,新規に購入した電気刺激装置を使用し,パルス形状,幅を変更して安定した心停止を得ることである.【実験】実験ブタを全身麻酔下に左右別々に肋間開胸し,左右の肺静脈を露出.右上肺静脈,上大静脈接合部と,左上肺静脈に電気刺激を行なった.双極パルス,出力10V,パルス幅0.5~1.0msの刺激で安定した心停止が得られたので(4頭).この刺激法で心停止実験を行なった.右心房脱血,大腿動脈送血の完全体外循環下に30分,60分の電気刺激を行なった.【結果】心機能測定;30分刺激心停止後,心臓は速やかに心拍動を再開した.停止前の心拍数,血圧に復帰するまでには6±5分を要した.60分刺激では,心拍数,血圧復帰まで12±7分を要した.4例中,2例は除脈のためカテコールアミンの持続点滴を必要とした.心筋逸脱酵素測定:30分,60分停止グループとも,CKMBの術前値からの有意な上昇は認めなかった.心筋酸素飽和度:連続モニターによる心筋酸素飽和度は,心拍動時82±4%が,心停止とともに92±2%に2分以内で上昇,徐々に低下し最終的に平均74±5%でプラト-に達した.心拍再開後,速やかに80%まで上昇し,再開後5分で83±5%のプラト-に復した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たる目的は,心房特定部の特殊パルス電気刺激を行い,長時間の心停止状態を得ようというものであり,この刺激停止後の心機能回復に問題がないか,臨床に適応できるかを知ることである.これまでの結果から,安定した心停止を電気刺激により得ることが出来てた.またさらに完全心停止(30,60分)からの心機能の回復は,臨床的に十分満足できるものであり,今後症例をもう少し(6頭まで)増やし,安定した結果が得られるかを確認できればよいと考えている
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今後の研究の推進方策 |
24年度は,今年の実験結果を踏まえ,症例を増やすことと,研究の方法にも述べたようにSPY-Qsystemを使用し,心停止時の心筋血流の変化をリアルタイムに客観的な指標ととして計測したいと考えている.本システムを使用しての,心停止時の血流測定は過去に報告はなく.電気心停止時の心筋血流の新しい知見がえらると思われる.それに要する費用は,測定に用いる設備は23年度の段階で設置済みであり,実験用ブタ,麻酔,点滴等の消耗品に用いる予定であり.また研究成果発表の旅費として使用しようと考えている
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次年度の研究費の使用計画 |
23年年度はブタ4頭に実験を行なった,当初の予定では10頭を研究する予定であった.研究ブタ1頭当たりの費用は約5万円であり,予定より6頭(30万円)分の費用,それに要する麻酔,点滴,人工心肺回路(約50万)費用が未使用のまま24年度に持ち越すことになった.24年度は,心筋逸脱酵素の生化学測定以外に,IL-6,8等のデーターを測定したいと考えている.また刺激後の心筋病理も確認したいと考えていおり,研究費は実験豚とともに,これらに使用したい.
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