研究課題/領域番号 |
23592032
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
榊原 賢士 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (40419338)
|
研究分担者 |
松本 雅彦 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (30372501)
|
キーワード | 吻合部狭窄 / 内膜肥厚 |
研究概要 |
最近silorimus(rapamycin)が薬物溶出性ステントに使用されており、冠動脈へステント留置後、再狭窄抑制作用が有効であることが示されている。rapamycinはmTOR(mammalian Target Of Rapamycin)を抑制し細胞増殖、遊走の抑制、アポトーシスを促進し冠動脈内の内膜肥厚を抑制する。このことにより冠動脈ステントの開存率が改善されてきた。しかし、下肢のバイパスや冠動脈バイパス手術においてグラフト閉塞の原因となる内膜肥厚に対し、抗凝固剤投与等行われてきたが効果が少なく、現在まで内膜肥厚の抑制法は確立されていない。今回、われわれは、silorimus(rapamycin)のターゲットであるmTORに注目し、グラフト吻合部でこの活性を抑制することにより内膜肥厚を抑えることを目標とした。前年度より、血管壁の石灰化も、吻合部で狭窄の原因となることに注目した。最近の文献の報告例ではmTOR活性化により血管壁の石灰化に促進することが報告されている。、高度な大動脈石灰化を伴う大動脈弁狭窄症症例において、その石灰化を起こすリスクファクターの検討もおこなった。その結果、透析、糖尿病のもとでは動脈壁の石灰化が進行させることが予測された。文献上、糖尿病存在下ではmTORを活性化することが示されている。吻合部での石灰化を伴った内膜肥厚にもmTORの制御が有効ではないかと注目し今後検討していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血管平滑筋細胞に遺伝子を導入し正常ヒト大動脈平滑筋細胞にコントロールsiRNA (GFP)をtransfectionし効率のよい条件を検討しつつ、siRNA transfectionを行い、mTORの発現の抑制を続けてきた。次なるステップとしてIn vivoでのtransfectionの環境としてアテロコラーゲン法を用いて条件設定を行っている状況であり、他の遺伝子導入法の使用も検討している。
|
今後の研究の推進方策 |
主な実験に関しては引き続き継続して検討する必要があるため昨年と重複する。 1.ヒト正常大動脈壁の平滑筋細胞へのsiRNA mTORへ導入しmTOR蛋白の発現を抑制する。 主としてはアテロコラーゲン法による導入を継続予定である。他の導入効率良い方法があればその方法も考慮する。次に、siRNA mTORを導入した細胞とコントロールの細胞の生理学的評価を行う。細胞遊走、細胞増殖、アポトーシス。 2.糖尿病、高脂血症、透析などの動脈硬化を起こす因子のうち動脈壁でどの因子が石灰化を引き起こすか検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験が遅れているためIn vivoの実験まで到達しなかったため残額が生じた。本年度研究を延長し継続することにした。その残額を本年度使用する予定である。 研究費の使用法については変更なく前年度同様の物品の購入を考えている。 本年度、研究費使用計画として細胞培養関連(シャーレ、培養液、ウシ胎児血清)、siRNA mTOR(cell signaling社)各種試薬(PDGFなど)、ヒト大動脈正常細胞(平滑筋細胞)などの消耗品の購入を考慮している。
|