研究課題/領域番号 |
23592041
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
鹿田 文昭 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (90457359)
|
研究分担者 |
長嶋 光樹 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (90256610)
岡村 達 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(病院教員) (20277198)
檜垣 高史 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (60253308)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 数値流体力学 / 小児心臓血管外科 / 先天性心疾患 / フォンタン手術 / 機能的単心室 |
研究概要 |
機能的単心室に対するチアノーゼの脱却、心室容量負荷の軽減が可能となるフォンタン手術は成績向上の途にある。心臓のポンプ機能を用いずに全身の静脈血流を肺動脈に流す手術であるため、血流の衝突、よどみが遠隔期に問題となる。血流の衝突は、左右への肺動脈血流不均衡となり、遠隔期の肺動静脈瘻の発症と関係する事が報告され、血流のよどみは、遠隔期に人工血管内の血栓形成の一因と推察している。更なる遠隔期成績の向上のため、血行動態的に至的なフォンタン手術の設計を、購入したソフトを用いて施行した。 血行動態的に有利な下大静脈‐肺動脈吻合の至的角度のシミュレーションを行った。建築設計用のCADソフト(AutoCAD)で作成したパイプモデルを使用して、臨床データから得られた心拍出量、肺血管抵抗値等をAnsysのCFDソフトに代入し、肺動脈に対してより前方から人工血管を吻合した方が有利であることを示した。かつ、この術式を行うと、energy loss, shear stressも臨床的に問題とならない低値であることを示した。これを2012年1月に開催された第48回米国胸部外科学会で発表を行った。また、Annals of Thoracic Surgeryに投稿を行った。(査読中)臨床データの整合性を観察するため、この術式を施行したフォンタン手術の心臓CTから得られた画像を用いてシミュレーションを行い、血流のよどみ、shear stress, energy lossともに有利であることを解析し、2011年デンバーで開催された心臓CT学会で発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
右心バイパス術後の適正手術法の解析が進行し、米国心臓CT学会と米国胸部外科学会で成果発表を行えた。さらに、患者自身のCTおよびMRI画像をもとに臨床応用を目指した解析が進行している。先天性心疾患のより複雑な手術に対応する、適正術前シミュレーションの足がかりとなる研究データを蓄積中である。
|
今後の研究の推進方策 |
より血行動態的に有利なフォンタン手術の設計を目指して、フォンタン手術の準備手術であるグレン手術のシミュレーションを行う。フォンタン手術前の心臓CTデータから計測した肺動脈径、上大静脈径などを詳細に計測し、平均値を算出する。その値からCADソフトを用いてパイプモデルの作成を行う。臨床に則した解剖学的バリエーションに対応するため、上大静脈が両側に存在する場合のグレン手術の至的吻合角度の算出を行う。内臓逆位の場合やApico-caval juxtapositionの場合のシミュレーションも行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
CFD解析ソフトであるAnsysの年間ライセンス費用は50万円であるため、その支払いに充当する。この研究は共同研究であり、、早稲田大学、北里大学とのデータの打ち合わせが必要なため、次年度使用研究費をこれに充当する。
|