研究課題
2012年度は、機能的単心室で両側上大静脈を有する症例に対する上大静脈ー肺動脈吻合術のモデルをCADソフトウェアを用いて作成し、CFDによるシミュレーションを行った。その結果、左右の上大静脈の距離が近接であればより理想的な血流が得られることを確認した。2013年度は当院で同術式を施行した患者の術前後の心臓CTの画像を用いて、理想的な血行動態を得るための術式を検討した。前年度の結果と同じく左右上大静脈の距離が近ければ血流が撹拌されやすいことを確認した。症例毎に血流分布が異なる所見を認めたが、肺動脈分枝や肺動脈径による影響が考えられた。この結果により、術前CTで左右肺動脈の形状、分枝のパターンを考慮し術前に吻合方法を検討することで、より理想的な血流を得られることが可能となり症例の予後改善に役立つことが考えられた。その結果をもとに第33回日本小児循環動態研究会学術集会で成果発表を行った。次に上大静脈吻合の角度や血流分布の変化が、遠隔期の肺動静脈ろうの形成に関与すると仮定を立てそれを立証するために、動物モデルを作成しマイクロCTで肺動脈ー上大静脈の形状モデルを作成することを計画した。動物モデルはマウスを用い、顕微鏡下で上大静脈吻合を行った。手技的に困難であり再現性が得られることが困難と判断し、ほかの手技による肺動静脈ろうの形成を確認することに方針を変更した。ラットで総胆管結紮により肺動静脈ろうが形成されることは報告されているが、ノックアウトマウスによるアプローチが可能となるようにマウスモデルで総胆管結紮を行い、検討を行った。その結果をThe 18th International Vascular Biology Meetingで発表、Plos Oneに投稿し受理された。
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PLoS ONE
巻: 9 ページ: e94550
10.1371/journal.pone