研究課題/領域番号 |
23592044
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
野口 亮 佐賀大学, 医学部, 助教 (70530187)
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研究分担者 |
森田 茂樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (70243938)
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
中山 功一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50420609)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 再生医療 / 心筋再生 |
研究概要 |
平成23年度は幹細胞由来心筋細胞による組織工学を用いた心筋移植片の作成及び移植法の最適化を得る事を目標に研究を行った。マウスES細胞をnogginの作用、胚葉体形成、G-CSFにより心筋を分化し我々が開発を行っているBRPシステムを用いて細胞のみで構築される心筋構造体を作成を試みた。本システムにてES細胞由来の任意の形状での構造体の作成ができるため、当初、免疫不全小動物の皮下に移植を行い、生着率等を予備実験として解析する実験を予定とし遂行していた。しかし、予想より心筋の分化高率が悪い事、予定心筋細胞数を得るためにかなりのコストがかかることが判明したため、予定を変更し、ラットneonateの心筋細胞にて代用して研究を進めることとした。ラット新生児初代心筋細胞にて細胞凝集体を形成したところ、拍動を認めず急激にサイズダウンして壊死していいることが疑われた。改善策として、血管内皮細胞などと共培養させると生存率、拍動効率が良くなる事を発見した。さらに、線維芽細胞や血管平滑筋など元来心臓内に存在する細胞との混合培養による3次元構造体作成により構造体の機能、拍動効率、生存率が良くなる可能性が示唆されたため、現在、その混合培養や指摘細胞比率の条件検討をおこなっている。本技術は幹細胞由来細胞にても同様の事が起こる可能性があるため、計画書に記載した計画より遅れてはいるが有意義な知見であると考えている。本手法で作製した構造体を本年度は心筋梗塞モデルに移植していく予定である。 尚、本年度は学会、論文掲載はしていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先述した、細胞ソースの変更(幹細胞由来心筋細胞からラット新生児初代心筋細胞へ)により、本年度中に移植実験まである程度行う予定であったが来年度にもちこした。その点で若干計画書よりおくれている。
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今後の研究の推進方策 |
心筋梗塞モデルマウス(ラット)の作成:すでに文献、書籍などで発表されている手法により心筋梗塞モデルマウスを作成する。心筋構造体の移植各種動物に構造体を埋め込む。移植細胞数はラット新生児由来心筋細胞1X10^7個/構造体を予定している。具体的には1)Sham群、2)心筋梗塞 +未治療群、3)心筋梗塞 +心臓表面への構造体移植群、4)心筋梗塞 +皮下への構造体移植群、5)心筋梗塞 +大網への構造体移植群を各n=6程度作成し、短期-中期のデータを重ねる。上記各モデル群にたいして、生存率、及び各期間においての生存率、体重、血圧、脈拍、不整脈発生率など、心エコー等による心機能評価などのデータの集積を行う。各モデル、各設定期間での採血を行い、各群にて網羅的サイトカイン、ペプチドの解析を行い、各治療モデルでの挙動を解析する。設定期間終了後に病理組織学的評価を行い、心室形態、各種オルガネラ染色、ペプチドの網羅的解析等を行う。また、同時進行しえ心筋梗塞モデルにおいて、構造体の心筋細胞数を各2倍4倍8倍とした群も作成し同様の評価を行い、幹細胞移植細胞数と心機能改善効果についてのデータを重ねる。また長期間移植した心筋移植片の心臓に対する力学的左室補助効果の有無を解析する。以上のデータをまとめ学会、論文発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
特に大型機材、高額機材の購入は考えていない。主に、細胞培養用試薬、動物購入および飼育費、手術用の小器具、麻酔試薬および組織学的評価用の抗体などである。国内学会出張費として10万円程度の支出を予定している。
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