研究課題/領域番号 |
23592045
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
益田 宗孝 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10190365)
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研究分担者 |
松本 直通 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80325638)
鈴木 伸一 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (90285130)
井元 清隆 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 教授 (40203335)
内田 敬二 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 准教授 (50275062)
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キーワード | 責任遺伝子 / 大動脈瘤発生 / 早期手術及び予防 |
研究概要 |
まず大動脈瘤の発生遺伝子の検索を行い当施設における非症候性大動脈疾患患者70例について末梢白血球からDNAを採取し、PCRを用いて増幅した後、我々が開発したリーシーケンアレー法と次世代シークエンサー法の2つの方法による遺伝子解析を行った。対象遺伝子は症候性大動脈疾患で報告されている8つの遺伝子について解析を行ったところ18個の遺伝子異型を認めた。この内3例(4.3%)で病原性を持つと考えられる遺伝子異常を認めた。いずれも大動脈解離の症例で、1例は急性大動脈解離の女性でEhlers-Danlos syndrome type IVの原因遺伝子であるCOL3A1のc.1815+5G>Aを、1例は慢性解離性胸腹部大動脈瘤の男性でMYH11のc.4963C>Tを、他の1例は家族歴のある急性大動脈解離の女性でACTA2にc.482T>Aを認めた。以上より非症候性大動脈疾患患者でも遺伝子異常を4.3%に認めており、幅広い検索により場合によっては致命的な病態である大動脈解離の発症予防や早期治療へ繋げることができる可能性を明らかにできた。 また最終目標の一つである治療法の確立について①今まで壁内血栓と考えられてきたものは血栓閉塞型大動脈解離の病態の一つであること②B型解離における偽腔の血栓化が早期に認められない症例では遠隔期に大血管由来の合併症発生率が高くなることより外科的治療介入を早期に行う必要があること③B型解離の瘤破裂に対するステントグラフト治療は出血コントロールの面では非常に有用性であるが早期に大血管由来の合併症を発生することより1年以内の手術介入が必要であること、を明らかにした。 今後遺伝子解析と大動脈の病態解析を行うことで、外科介入の時期を適切に決定できる可能性を示した研究結果となった。
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