研究課題/領域番号 |
23592046
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
吉川 義朗 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40343420)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 心筋虚血再灌流 / 心保存 / カルパイン阻害剤 |
研究概要 |
University of Wisconsin(UW)液を用い、24時間の単純冷却による保存液浸漬したラット保存心を、下記の血液交差灌流実験系を用いエネルギー学的・力学的に心機能評価を試みた。最初に、UW液24時間の単純冷却(4℃)による保存液浸漬したラット保存心で左室容量を変化させて(Vol-run)、心停止前の左室収縮期末圧容積関係(ESPVR)、一心拍当たりの心筋酸素消費量(VO2)-収縮期圧容積面積(PVA)関係を求める試みを行ったが、心拍再開しなかった。数度同様の実験を行ったが心拍視界が得られず、やむなく12時間に短縮し実験計画を見直しているところである。そのため、次に行う予定であった1%塩化カルシウム溶液を冠状動脈注入による、心筋の収縮性の酸素コストを求めるには至っていない。現在、心筋保護効果を有するとされる超短時間作用型β遮断薬landiololの心筋収縮に関する中間左室容量での左室圧(ESPmLVV)、中間左室容量での収縮期圧容積面積PVAmLVV、VO2-PVA関係直線におけるslopeとVO2-intercept(主として細胞内Ca2+ハンドリングについて消費するVO2)、収縮性の酸素コストについて検討している。その結果、やはりESPmLVV、PVAmLVV、VO2-interceptに関しては、正常心に比し有意に低下することが示唆された。また、VO2-PVA関係直線におけるslopeは変化しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
心保存の実験である為、より長時間での心保存の有用性を確かめたかったが、最初に想定した24時間での心保存時間が長く、コントロールの実験に成功していない。また、コスト削減、実験主義が容易であることから、ウイスター・リタイア・ラットを用いたのも失敗が続いている原因かもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
University of Wisconsin(UW)液を用い、12時間の単純冷却による保存液浸漬したラット保存心を、下記の血液交差灌流実験系を用いエネルギー学的・力学的に心機能評価する。最初に、UW液12時間の単純冷却による保存液浸漬したラット保存心で左室容量を変化させて(Vol-run)、心停止前の左室収縮期末圧容積関係(ESPVR)、一心拍当たりの心筋酸素消費量(VO2)-収縮期圧容積面積(PVA)関係を求める。次に1%塩化カルシウム溶液を冠状動脈注入することにより、心筋の収縮性を変化させることにより、収縮性の酸素コストを求める。現在までの我々の実験により正常心でのESPVR, VO2-PVA関係との関係を検討する。次にUW液に水溶性カルパイン阻害剤添加し、同様に24時間の単純冷却による保存液浸漬を行った保存心で同様の評価を行う。評価項目は、心拍再開率、心拍再開までの時間、中間左室容量での左室圧(ESPmLVV)、中間左室容量での収縮期圧容積面積PVAmLVV、VO2-PVA関係直線におけるslopeとVO2-intercept(主として細胞内Ca2+ハンドリングについて消費するVO2)、収縮性の酸素コストについて検討する。以上を正常心、UW液保存心、水溶性カルパイン阻害剤添加UW液保存心の3群間での比較を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラット摘出心における血液交差潅流の実験系は確立しているが、酸素消費量測定のためのoximeterのセル、電磁流量計のプローベなど高額な消耗品購入、および生理学的実験終了後の免疫染色などの固定・染色薬液の購入などに使用する予定である。
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