研究課題
本研究課題では、ヒト胎児付属物(胎盤、臍帯、子宮内膜)由来の間葉系細胞と心筋分化誘導分子の組み合わせによる高率な心筋分化法を規格化し、重症心不全に対する細胞移植治療の実現を目指して研究を遂行した。心筋分化誘導分子を導入することでヒト胎児付属物由来間葉系細胞から心筋への分化誘導効率を飛躍的に向上し、最終的には細胞移植が重症心不全治療の標準治療となることをゴールとした。研究期間の後半は、ヒト胎盤由来の間葉系細胞が低侵襲なアプローチである心嚢内視鏡下アプローチで安全に移植、生着させ、心筋へ分化する能力を検証することを目指して研究を進めた。全身麻酔下のビーグル犬を用いて、セルディンガー法 により心嚢内に内視鏡を挿入して心嚢内の視野を確保し、各種マニュピュレータープロトタイプを用いて心嚢内で細胞移植シミュレーションによる器具の最適化を行った。既製の内視鏡システムを用いた心嚢内での内視鏡手術手技の確立、マニピュレータを含めた周辺機器の最適化、心外膜側からの細胞移植デバイスツールの開発をすすめた。心嚢内視鏡アプローチでビーグル犬の左室に青色色素の注入、ビーズの注入、ヒト胎盤由来間葉系細胞の左室20カ所への移植とすすめ、観血的動脈圧ラインや心電図の解析により、手技中の血行動態の変化をモニタリングした。さらにペースメーカーワイヤの留置にも成功した。開胸手術を行うこと無く、心筋へ幹細胞を移植する本法の技術整備により、心機能の著しく低い患者においても高い侵襲を与える事なく細胞移植することが可能となり、ヒト胎児付属物由来幹細胞の心筋への細胞移植の臨床応用に近づいた。
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Int J Cardiol
巻: 173(2) ページ: e9-e11
10.1016
Ann Thorac Cardiovasc Surg
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