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2011 年度 実施状況報告書

放射光血管造影を用いた転移性肺腫瘍の早期診断の可能性

研究課題

研究課題/領域番号 23592053
研究機関筑波大学

研究代表者

榊原 謙  筑波大学, 医学医療系, 教授 (60192085)

研究分担者 野口 雅之  筑波大学, 医学医療系, 教授 (00198582)
佐藤 幸夫  筑波大学, 医学医療系, 教授 (10312844)
松下 昌之助  筑波技術大学, 保健科学部, 准教授 (70359579)
酒井 光昭  筑波大学, 医学医療系, 講師 (60375508)
兵藤 一行  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 講師 (60201729)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード放射光 / 血管造影 / HARP受像管 / 肺癌 / 微小癌 / 転移 / 新生血管
研究概要

本研究の目的は、放射光微小肺動脈造影を用いて、直径3 mmの新生血管に富む転移性肺腫瘍の診断を行うことにある。その前提として、放射光由来の高輝度X線線源と高感度受像管(HARP管、NHK放送技術研究所提供)を用いて、血管径50 μmの肺動脈を判別できる経静脈的肺動脈造影法の最適化を確立することが、本年度の目的であった。肺動脈造影では、動脈造影と異なり、上大静脈から送出された造影剤は右心房で血液と混合され、造影剤が希釈されている。このため、高感度の検出器が必要であった。また、細動脈レベル(50~100 μm)の腫瘍血管を検出するためには、放射光の高輝度性に由来する高分解能が必要である。この両者を結ぶ光伝達の最適化も必要である。H23年度の研究の結果、本目的に合致する方法はFOP(fibro-optic plate)法ではなく、レンズカップリング法(浜松ホトニクス)であった。これを用いて、ラットの転移性肺腫瘍モデルにおいて、経静脈的に肺動脈造影を行った(n=4)。その結果、ラット肺に平均500μmの腫瘤様陰影が10数ヶ所検出された。これに対応する肺摘出組織切片を検討すると、転移性肺腫瘍であることが確認された。ラットのような小動物では腫瘍径500 μmの腫瘍の検出が可能であると考えられた。また、この背景には腫瘍血管の未熟性に基づく透過性の亢進と低酸素応答性の腫瘍血管の増生があることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

直径1 mm以下の転移性肺癌の検出が可能であった背景を考察する。高解像度の放射光線源、高感度のHARP管を使用したことに加え、時間分解能の要素を加えたことが、微小転移癌の検出につながったと考えられた。即ち、造影剤の肺循環への通過に伴い、肺動脈および末梢肺循環は最初の造影剤のピークを迎えるが、急速に造影剤濃度の低下を引き起こす。一方、肺腫瘍は同様に造影剤のピークに到達した後、20秒ほど遅れて、減衰を始めた。この間が肺腫瘍とバックグラウンドの末梢肺動脈とを区別する期間であった。この"Delayed Clearance"現象を利用することにより、腫瘍性腫瘤と背景の末梢肺循環系を対比させ、診断することが可能であった。

今後の研究の推進方策

今回の腫瘍細胞は、ラットのglioma由来細胞が用いられた。実際の臨床の肺転移では、大腸癌によるものが多く出現している。そこで、癌腫をgliomaからラット大腸癌株に変更させる必要がある。また、疑いのある腫瘍性病変に対し、被写体を回転させることにより、肺動脈の折れ曲がりと実際の腫瘍性病変と区別ができるようになるのではないかと、考えた。この方法の確立が、本年度の目的である。 一方、小動物の研究に加え、ヒトに近い体重を有するヒツジを用いて、転移性肺腫瘍を惹起させ、この撮像システムがラットのような小動物と同じレベルで、微小な転移性肺腫瘍が検出できるかどうか検討する。

次年度の研究費の使用計画

ラットを用いた小動物実験に加え、ヒツジを用いた転移性肺腫瘍がどの外径まで小さな肺腫瘍が検出できるのか調べる。ヒツジの購入費(1頭10万円前後)、飼育費、癌作成モデルの検討に費用が必要となる。また、大動物用の人工呼吸器、および麻酔器を購入する予定である。 前年度同様に、腫瘍細胞の保持と培養に関する費用が必要である。

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公開日: 2013-07-10  

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