研究課題/領域番号 |
23592053
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
榊原 謙 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60192085)
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研究分担者 |
野口 雅之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00198582)
佐藤 幸夫 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10312844)
松下 昌之助 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70359579)
酒井 光昭 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60375508)
兵藤 一行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (60201729)
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キーワード | 放射光 / 肺癌 / 血管造影 / HARP撮像間 / 造影剤 |
研究概要 |
腫瘍細胞(C6 cell, rat glioblastoma, Riken)1×10^6 Cells/匹をラット(SD, 6 wks, n=30)の頸静脈から注入した。注入2週間後生存例で放射光肺動脈造影を行った。一部のラットでは、免疫抑制剤(FK-506:1 mg/kg/day)の皮下注を1週間連続で行い、腫瘍組織の増大を測った。HARP撮像管を用いた高感度放射光肺動脈造影では、径500μm程度の腫瘍組織を見いだすことができた。HARP撮像管は濃度分解能にすぐれ、backgroundの肺毛細血管とのわずかな造影剤の濃度差も分別することが可能であった。血管屈曲部との鑑別が重要であるが、腫瘤陰影の連続性、動き、肺動脈との解剖学的位置関係から鑑別は可能と考えられた。また、一部の腫瘍陰影では栄養血管を直接確認することができた。摘出肺組織標本に対し、VEGFの免疫染色を施行し、腫瘍組織の血管周囲にVEGF濃染を認めた。これは、VEGFが血管透過性亢進因子であるため、腫瘍新生血管から造影剤が間質にleakする根拠の1つと考えられた。 一方、HARP受像管を使用せず、通常感度のCCDカメラを用いて同様に腫瘍細胞注入ラットの放射光肺動脈造影も対照群として施行した(n=6)。この撮像では、わずかに腫瘍塊をうたがう陰影を少数認めたが、時間分解能が悪く、造影剤の希釈曲線から腫瘍をとして鑑別することができなかった。 以上まとめると、高解像度の放射光線源を用いた血管造影だけでは径500μm程度の陰影を腫瘍として判断することは出来ず、HARP撮像管などの高濃度分解能を有する撮像管によるbackgroundとの差別化、および30 msec以上の時間分解能を用いた造影剤希釈の減衰曲線の評価が加わることが、微小転移性肺癌の検出に必要な条件であった。
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