研究課題/領域番号 |
23592056
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
板東 徹 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20293954)
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研究分担者 |
伊達 洋至 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60252962)
黄 政龍 公益財団法人田附興風会, その他部局等, その他 (10271511)
藤永 卓司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00444456)
趙 向東 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00444464)
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キーワード | 外科 / 移植・再生医療 / トランスレーショナルリサーチ |
研究概要 |
Lewisラット(体重 300-400 g)に全身麻酔下に心室細動にて心停止を導入後、室温下に90分間放置した。90分の温虚血後に両肺ブロックを体外循環回路に接続し、60分間の低温持続灌流(6-10℃、2-3 ml/分)を行った。灌流液にはK濃度を減量した改変型ET-K(Na+/K+=149/5 mEq/L)をベースとして、3%のHESを含有した低K-HES+群とHESを加えない低K-HES-群を比較した。その結果、粘稠度を抑えるためにHESを除いたHES-群では、予想に反して60分間の低温持続灌流中、HES+群に比べて、有意に気道抵抗および肺動脈圧の上昇を認め、肺重量も増加し、高度の肺水腫を来した。よって、HESは灌流液の粘稠度を増加させ、悪影響を及ぼしている可能性がある一方で、膠質浸透圧を維持することによって、むしろ灌流保存に好影響を与えていることが明らかとなり、単純なK濃度の減少やHESの除去のみではET-Kによる持続灌流保存効果は不十分であった。そこで、灌流液の粘稠度を大きく増加させずに浸透圧を維持するため、赤血球を加えたcellular ET-Kによる灌流保存の可能性を検討した。現在、肺の体外持続灌流には、赤血球を含まないacellular perfusionと赤血球を加えたcellular perfusionの二種の方法があり、その優劣は不明である。予備実験としてラット肺の持続灌流をcellular solutionとacellular solutionの二群に分けて比較検討を行った結果、赤血球を加えたcellular群では、有意に良好な保存効果を示した。また、同様の結果がイヌ肺においても認められるかどうかを検討するため、イヌ肺の持続灌流をcellularおよびacellularで実施したところ、ラットとは異なり、両群に明らかな差は認めずほぼ同等の結果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電解質組成やHESの除去などの単純な改変では、予想に反して十分な持続灌流保存効果が得られず、赤血球の添加などでの改良を要すると思われるから。
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今後の研究の推進方策 |
ET-K液の粘稠度を抑えてかつ浸透圧を維持するため、赤血球を添加することで持続灌流効果が期待できる。また、ラット肺とイヌ肺では必ずしも同様の保存効果を示すわけではないことから、イヌ肺保存での検討が必須となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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