研究課題/領域番号 |
23592066
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
土谷 智史 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30437884)
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研究分担者 |
永安 武 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80284686)
下川 功 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70187475)
山崎 直哉 長崎大学, 大学病院, 講師 (70404217)
秋田 定伯 長崎大学, 大学病院, 助教 (90315250)
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キーワード | 脂肪幹細胞 / 肺虚血再灌流 / 肺移植 / PARP阻害剤 |
研究概要 |
ヒト脂肪由来幹細胞投与によって、肺障害が抑制されるか、幹細胞が組織内に生着するかを、病理学的、遺伝子学的に判定する目的で、まず虚血再灌流モデルを作成した。 初年度は、Pengら (Pulmonary Pharmacol 2010)と我々の報告(Ann Thoracic Surg 2004)に準じ、雄ヌードラット(F344/NJcl-rnu/rnu)に気管内挿管し、肺門を1時間クランプして開放した。開放時5×106個の脂肪由来幹細胞を尾静脈より投与した。投与した幹細胞の濃度が濃いため細胞塊となってしまった。また、ヌードラットが侵襲に対して弱いためか、再灌流後、臓器採取までに死亡する個体が続出した。 そのため、初年度後半から24年度は、まず手技の安定を目指し、脂肪幹細胞を使う前に薬剤投与で実験を行った後、同じ系で幹細胞の実験に入ることとした。虚血再灌流モデルをWister ratで作成し、PARP1阻害剤という抗アポトーシス作用を持つ薬剤を頚静脈投与した。結果としては、d-ROM値は、IR群、PARP1阻害剤使用群は、酸化ストレスを有意に減少させ、炎症やアポトーシスを抑制し組織保護効果を示した。 24年度後半は、脂肪幹細胞の実験を週齡8週、250gの雄wistarラットを用いて行った。既に臨床応用されているcytoli社のプロトコールに従って、自己の脂肪細胞より幹細胞を選択的に抽出し培養を行った。細胞のトラッキング目的に培養脂肪幹細胞の細胞膜にGFP蛍光色素をマーキングし、採取2週間後に虚血再灌流障害を起こさせたラットに5×10*6個を投与し、ホルマリン固定をした肺組織を組織学的評価を行い、同時に蛍光顕微鏡で虚血再灌流障害モデルに培養脂肪幹細胞が集積していることを確認した。今後は各群n=5で組織学的評価や炎症性サイトカイン、酸化ストレス・抗酸化力などを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
手技の確立のため、薬剤投与実験を行ったが、そちらの実験の成果が上がってしまった。そのため、脂肪幹細胞の研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪幹細胞の実験を粛々を進め、組織障害抑制効果を見極める。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラット及び脂肪幹細胞、GFP標識薬品等の購入。 海外発表の渡航費
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