研究課題/領域番号 |
23592066
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
土谷 智史 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30437884)
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研究分担者 |
永安 武 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80284686)
下川 功 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70187475)
山崎 直哉 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70404217)
秋田 定伯 長崎大学, 大学病院, 助教 (90315250)
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キーワード | 脂肪幹細胞 / 肺虚血再灌流 / ラット肺移植 / PARP阻害剤 |
研究概要 |
最終年度に実施した研究成果は、ラット肺門クランプによる虚血再灌流モデルを用いてラット脂肪肝細胞投与モデルを確立した。方法としては、実験2週間前にラットの両側大腿皮下の脂肪組織から、Cytori theraputis社のプロトコールに準じて脂肪肝細胞を採取、培養し、1×10*6個の脂肪幹細胞を得、再灌流開始と同時に頸静脈より脂肪幹細胞を緩徐に投与した。偽手術群、虚血再灌流群、脂肪肝細胞投与+虚血再灌流群の3群で比較を行い、再灌流後48時間の病理組織所見を検討した。再灌流後4時間、2日目、7日目で炎症性サイトカイン(IL-6,TNF-α)を測定した。現在、各群n=3で比較しているが、虚血再灌流障害に対して、脂肪幹細胞投与群では炎症が抑制される傾向はあるものの、有意な差までは得られておらず、n=5まで増やす検討をしている。 また、研究期間全体と通じて実施した研究成果の概要であるが、まず、(1) ラット肺の虚血再灌流モデルをWister ratで作成し、PARP-1阻害剤という抗アポトーシス作用を持つ薬剤を頚静脈投与して、その組織障害抑制作用を検証した。結果として、再灌流後48時間の時点で虚血再灌流群では強い炎症が誘導されるのに対して、PARP-1阻害剤投与群においては炎症反応とアポトーシスが有意に抑制された。ATP活性やPARP活性、炎症性サイトカインも同様に抑制されていた。酸化ストレス応答では、PARP-1阻害剤投与群では、d-ROM(酸化ストレス指標)が低下し、BAP(抗酸化力指標)が有意に高値を示した。また、虚血再灌流群では抗酸化力のバランスが崩れた状態が7日目でも持続した。これらの結果は、米国雑誌のTransplantationに受理されている。次に、(2) ラット虚血再灌流-脂肪肝細胞投与モデルを作成し、前述の組織保護傾向を認めた。
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