研究課題/領域番号 |
23592067
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山崎 直哉 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70404217)
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研究分担者 |
永安 武 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80284686)
土谷 智史 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30437884)
宮崎 拓郎 長崎大学, 大学病院, 助教 (00584749)
松本 桂太郎 長崎大学, 大学病院, 助教 (80404268)
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キーワード | 幹細胞 / 肺移植 / GFP |
研究概要 |
ラット肺移植モデルにおける幹細胞の働きの解明を目的とし、GFPラットを用いての実験を当初予定していたが、GFPラットは抗原性が強く、拒絶抑制が容易ではなかったため、ラットの種類の変更を余儀なくされた。このため、Brown Norwayラットをドナー、Lewisラットをレシピエントとして、同所性アロ左肺移植を行った。また、自己の骨髄幹細胞を使用する予定であったが、骨髄の採取は大腿骨離断が必要であり致死的であるため、自己移植・投与が不可能であった。このため、自己の脂肪幹細胞を使用する方針に変更した。具体的には、移植の2週間前にレシピエントの腹部脂肪から脂肪幹細胞を採取・培養した。移植直後に脂肪幹細胞(1.0×106)を経静脈的に投与した群(AD)、移植後から連日タクロリムス(0.5mg/kg)を投与した群(F)、移植直後に脂肪幹細胞を投与し、タクロリムスを連日投与した群(AF)、コントロールとして移植後無治療群(C)の、4群を作成した。移植1、3、7日目に犠牲死させ、病理学的評価やELISAによる血清学的評価を行った。幹細胞の局在を把握するための、GFPに変わる蛍光物質として量子ドットを用いることとした。結果;F群に比してAF群は拒絶のGradeが低い傾向にあった(p=0.043)また、気管支周囲リンパ節におけるPCNA labeling indexが、AF群において有意に低かった(p=0.03)。また、AF群では血中のHGF、IL-10 が高値を示し、IL-2が低値を示し、血清学的にも拒絶が抑制されていることが確認された。さらに量子ドットを用いた脂肪幹細胞の蛍光染色から、投与後の脂肪幹細胞が移植肺に残存していることが確認された。以上から脂肪幹細胞による拒絶抑制の機序として、HGF分泌による免疫寛容が考えられた。今後の臨床応用が期待される。
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