研究課題/領域番号 |
23592078
|
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
森田 一郎 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30200413)
|
研究分担者 |
深澤 拓也 川崎医科大学, 医学部, 講師 (20379845)
繁光 薫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50585007)
|
キーワード | 呼吸器外科学 |
研究概要 |
非小細胞肺癌、特に腺癌に対する分子標的治療研究が進み、EGFR-TK変異型肺癌に対するgefitinibやelrotinibさらに ALKfusion遺伝子、ROS1 fusion 遺伝子発現肺癌などへの crizotinibの有効性が報告されてきている。一方喫煙との関連が報告されているKRas変異型非小細胞肺癌は、前2者とは排他的関係にあり、その治療法は未だ確立されていない。2009年Sosらは遺伝子背景の異なる肺癌細胞株を用いた検討よりKRas変異型非小細胞肺癌に多く特定HSP阻害剤が高い感受性を示すことを報告している (Sos M et al. J Clin Invest. 119:1727-40. 2009)。HSP90阻害薬は癌における多数のシグナル伝達経路を阻害し、細胞周期、細胞分裂、apoptosis、ストレス耐性などに関わる複数のクライアント蛋白を同時に阻害し、癌の増殖を抑制する。 我々は、Ras変異型肺腺癌に対する新しい治療法開発を目的とし、新規HSP90阻害薬AUY922の抗腫瘍効果を検討した。当該阻害剤は、Ras変異型肺腺癌株: H358、H441における細胞増殖を抑制し、細胞死を誘導した。一方でRas変異型肺腺癌株A549に対する増殖抑制効果は微弱であった。細胞死を解析するために Immunoblot法を行ったところ、AUY922はH358細胞においてcaspase3の活性化を誘導したのに対し、A549およびヒト正常肺線維芽細胞株ではcleaveageは認められなかった。以上より、AUY922は一部の肺癌株に細胞死を誘導しその機序はcaspaseを介したapoptosisであることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度まで研究計画である、AUY922の作用機序の検討に関し、一部の肺腺癌、正常細胞における下流シグナルの解析を終了している。現在細胞種を増やしEGFR-TK変異型 およびEML4-ALK発現型肺癌での抗腫瘍性の検討を進めており解析終了までに暫くの期間を要する見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
AUY922の作用機序の解析を終了後、細胞株を選定し、in vivoでの制癌効果の解析ならびに正常組織障害の評価さらに他種抗癌剤・分子標的薬剤と併用効果の検討を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、25年度請求額とあわせ、AUY922のin vivoでの抗腫瘍効果の解析および他種薬剤と併用効果の検討に必要な細胞・分子生物試薬費、実験動物購入費を使用する。 研究計画の遅れから、次年度使用予定助成金が生じている。
|