研究課題/領域番号 |
23592083
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
柳澤 俊晴 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20311574)
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研究分担者 |
菅原 卓 秋田大学, 医学部, 講師 (80241660)
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キーワード | アンジオテンシン受容体 / 脳虚血 / 神経細胞死 / アポトーシス |
研究概要 |
1.AT1Rの阻害が海馬CA1領域の神経細胞死を抑制するかどうか. ラットにAT1R阻害剤(ARB)であるcandesartan(0.1, 1, 10 mg/kg/day)またはvehicleを経口投与し,前述のSmith法により全脳虚血(5分間,31-35 mmHg)を行った.虚血後もcandesartanまたはvehicleの投与継続し,虚血後5日に経心的に潅流固定し,海馬CA1領域の生存神経細胞を評価した.Vehicle群では殆どの神経細胞が細胞質の変形や好酸性変化,核の濃縮像を起こして死滅し,生存する細胞はわずかに5%以下であったが,candesartan 1 mg/kg/day投与群では生存細胞数は30%と増加した. 2.AT1R阻害薬投与群と非投与群で酸化ストレスの発生に差はあるか. 同様の実験系を用いてhydroethidine法により酸化ストレスの発生を観察した.AT1Rを阻害したグループでは虚血に対して脆弱な海馬CA1領域の神経細胞における虚血後酸化ストレス(superoxide)の発生が抑制されていた. 3.AT1R阻害剤投与群でアポトーシス経路のどのレベルで阻害されているか. 分子生物学的手法(Western blot,細胞分画法,免疫染色)により検討を行い、投与群ではcytochrome cのミトコンドリア外漏出が多い傾向にあったが、統計学的優位差は認められなかった。今後は動物数を増やしてさらなる検討を要する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AT1R阻害剤投与による虚血性神経細胞死の抑制が確かめられた。分子生物学的検討が進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
動物数を増やし、分子生物学的検討を継続する。平成24年度には実験用試薬の使用量が予想より少なかったため、研究費に残額が生じ、次年度使用額が発生した。平成25年度は平成24年度の残額もあわせて研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画通り、動物購入飼育費、抗体など薬品費、謝金などに使用する。平成24年度に生じた残額は試薬などの購入費として使用する予定である。
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