研究課題/領域番号 |
23592085
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鶴嶋 英夫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50315470)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / DDS / 脳虚血 |
研究概要 |
環境応答性ナノ粒子はミセル粒子の研究を長年行なっている筑波大学学際物質科学センターの長崎幸夫教授の協力を得て作製されている。TEMPO内包ナノミセル粒子(RNP: radical-containing nanoparticle)を試作した。このナノ粒子は60-80 nmの粒子径をもち、低pHで粒子が分解する性質を持つようにデザインされていた。部分脳虚血ラットを使用してTEMPOL(DDS化していない)とDDS化してあるTEMPOL,つまりRNPの脳梗塞の治療効果を検討した。部分脳虚血ラットに治療を行いできた脳梗塞部位の定量化はラットの脳のスライス(2 mm)を作製し、TTC染色を行なう事によって脳梗塞部位の面積を測定して、総和を得る事により脳梗塞体積を計算して定量化した。またTEMPO分子の脳梗塞部位での濃度はelectron paramagnetic resonance (EPR) assayを利用して測定した。RNPを静脈内投与した群では脳梗塞領域の減少が確認されていた。またRNP投与ラットでは副作用である低血圧も観察されなかった。脳梗塞部では組織中にESRによってTEMPOが確認でき、脳梗塞部でのみRNPが分解して組織中に浸透したことが予測された。In vitroの実験でRNPのpHによる分解性を確認していたが、in vivoにおいてもpHによって分解している事が示唆された。上記実験はナノ粒子による虚血治療の潜在能力をしめすものと思われた。今後もさらにRNPの脳虚血における治療効果を検証して、その潜在能力を検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ粒子の作製、その基本的性質の解析、また動物実験の開始などが行なわれており、概ね順調であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、更なる脳虚血治療モデルを使用した実験を施行して、新しい治療システムの探求をして行く予定である。動物モデルでは慢性脳虚血モデルを作製して、治療効果を検証する。またナノ粒子の脳虚血部への体内動態を明らかにする実験を施行して治療効果の更なる裏付けとなるデータを得るつもりである。これら実験と並行して全く新しいdrug delivery system (DDS) を用いた脳虚血治療システムの開発も開始する。使用する動物モデルは前実験と同一であるが、より実用性の高いDDSを開発する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験のための動物購入費と試薬など購入費に主に使用される予定である。
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