エピジェネティクスとは、クロマチンの化学的、構造的な修飾による遺伝子発現制御である。一方、非致死的な短時間の虚血負荷により誘導される虚血耐性現象には、多くの遺伝子発現変化が関与するとされるが、そのメカニズムは解明されていない。本研究では、虚血耐性獲得における遺伝子発現変化に対し、エピジェネティクスが果たす役割をラット虚血モデルで検討した。その結果、耐性獲得脳ではヒストン蛋白質のメチル化に変化を認め、apoptosis関連遺伝子や炎症反応関連遺伝子などの誘導が著明に抑制された。今後更なる検討を要するものの、虚血耐性獲得にエピジェネティクスが関与している可能性が示唆された。
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