研究課題/領域番号 |
23592091
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
杉山 一彦 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30243554)
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研究分担者 |
山崎 文之 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60444692)
栗栖 薫 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70201473)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | glioblastoma / pseudo-response / bevacizumab / DWI / high b-value / pseudo-progression / temozolomide / oligodendroglial tumor |
研究概要 |
脳幹部のgliomaを詳細に検討し、single proton MR spectroscopyによるlactateの検出が予後不良因子であることを証明した。また、conventional MR imagingが予後予測因子にならないことを明らかにした。続いて gliomaの中で最も悪性度の高いglioblastomaにおいて、b値を4000に設定した拡散強調画像で拡散係数(apparent diffusion coefficient)を測定すると、glioblastomaにおけるADCはcentral nervous system malignant lymphomaのADCと比較して有意に高く、両者の鑑別が可能となり、治療方針の決定の上で極めて有用であることを明らかにした。さらに、b値1000と比較した場合に、より正確に細胞密度と相関することを明らかにし、高いb値での拡散強調画像の有用性を明確にした。さらに、glioblastomaに対して分子標的薬のbevacizumabを用いた時に生じるpseudo-responseについて、高いb値を用いた拡散強調画像がpseudo-responseとtrue-responseの鑑別に有用であることを発見した。他に、gliomaの分類で、oligodendroglioal tumorとastrocytic tumorの血流量に着目し、術前画像診断において血流量の多いoligodendroglioal tumorと血流量の少ないastrocytic tumorの鑑別診断が可能であることを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Gliomaや悪性脳腫瘍の治療における評価方法の問題点である、術前鑑別診断や予後予測、治療効果判定について、proton MR spectroscopyや高いb値による拡散強調画像を用いた診断法を開発した。特に、pseudo-responseの診断法の報告はこれまでに類を見ず、治療効果予測において極めて重要な知見を示しており、この研究の推進はgliomaの治療において重要である。
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今後の研究の推進方策 |
gliomaの最も悪性度の高いglioblastomaについて、temozolomide治療時のpseudo-progressionとbevacizumab治療時のpseudo-responseの診断方法を確立する研究を推進する。放射線治療、化学療法前後の検査として、conventional MR imagingとadvanced MR imaging検査を行う。Advanced MR imagingとしてはDWI (b-1000とb-4000)、Arterial Spin Labelinigによるperfusion-weighted-imaging、拡散tensor画像、MR Spectroscopyを行う。それぞれを定量的に評価する。Conventional MRで得られるT1値の変化、T2値の変化、造影率の変化、腫瘍サイズの変化、そして実際の臨床経過を参照して、RANO基準、MacDonald基準での治療効果を判定する。また、これまでにわれわれが開発したHBDW(high b value diffusion-weingted imaging)基準により治療効果を判定する。さらにadvanced MR imagingの各パラメーターの変化を統計学的に検討して、治療効果予測システムを確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き治療効果予測システムの開発のため、データ処理に研究費を使用する。また、実際の治療後の摘出標本を病理学的、免疫組織学的に詳細に検討し、予測と結果の整合性を検討する。この検討の試薬の購入に研究費を使用する予定である。また、情報収集とこれまでの研究成果の発表を行なう予定である。
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