研究課題/領域番号 |
23592091
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
杉山 一彦 広島大学, 病院(医), 教授 (30243554)
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研究分担者 |
山崎 文之 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 助教 (60444692)
栗栖 薫 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 教授 (70201473)
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キーワード | glioma / VEGF / pseudo-response / DWI / ADC / glioblastoma / lymphoma |
研究概要 |
脳幹部のgliomaを詳細に検討し、single proton MR spectroscopyによるlactateの検出が予後不良因子であることを証明した。また、conventional MR imagingが予後予測因子にならないことを明らかにした。続いて gliomaの中で最も悪性度の高いglioblastomaにおいて、b値を4000に設定した拡散強調画像で拡散係数(apparent diffusion coefficient)を測定すると、glioblastomaにおけるADCはcentral nervous system malignant lymphomaのADCと比較して有意に高く、両者の鑑別が可能となり、治療方針の決定の上で極めて有用であることを明らかにした。さらに、b値1000と比較した場合に、より正確に細胞密度と相関することを明らかにし、高いb値での拡散強調画像の有用性を明確にした。さらに、glioblastomaに対して分子標的薬のbevacizumabを用いた時に生じるpseudo-responseについて、高いb値を用いた拡散強調画像がpseudo-responseとtrue-responseの鑑別に有用であることを発見した。他に、gliomaの分類で、oligodendroglioal tumorとastrocytic tumorの血流量に着目し、術前画像診断において血流量の多いoligodendroglioal tumorと血流量の少ないastrocytic tumorの鑑別診断が可能であることを報告した。Glioblastomaに対してVEGFに対する分子標的薬のbevacizumab投与時に生じるpseudo-responseについて、高いb値を用いた拡散強調画像がpseudo-responseの鑑別に有用であることを発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
治療効果予測システムの開発として、pseudo-responseの予測システムの開発に重要な知見を得た。 MR spectroscopyとdiffusion-weighted imaging、perfusion-weighted imagingそれぞれの有用性を示した。 特にMR spectroscopyhは脳幹gliomaに対して、diffusion-weighted imagingはcentral nervous system malignant lymphomaとglioblastomaに対して、perfusion-weighted imagingはoligodendroglial tumorとastrocytic tumorに対しての有用性を示した。
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今後の研究の推進方策 |
治療効果予測システムの開発として、advanced MR imagingのsusceptibility-weighted imagingをさらに導入する。これまでのMR spectroscopy、diffusion-weighted imaging、perfusion-weighted imagingに加え、susceptibility-weighted imaging、そしてhigh-b value based diffusion-weighted imagingのデータを統合して、治療効果予測システムの開発を継続する予定である。さらに病理所見、画像所見を統合し、画像の変化が実際の病理の所見とどのように関連しているのか、分子生物学的に検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
治療効果予測システムのデータ処理用のcomputer 関連機器、ソフトウエアの購入を行う。病理組織診断のための抗体購入、免疫組織学的染色用の試薬、RT-PCR用の試薬、蛋白発現のためのウエスタンブロッティング用の抗体と試薬、免疫沈降用の試薬、ELISAのキットの購入などを行う。研究成果発表、論文投稿に使用する。
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