研究課題/領域番号 |
23592094
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
林 健太郎 長崎大学, 大学病院, 講師 (40404222)
|
研究分担者 |
竹下 朝規 長崎大学, 大学病院, 医員 (30597365)
豊田 啓介 長崎大学, 大学病院, 医員 (40597366)
馬場 史郎 長崎大学, 大学病院, 助教 (30530430)
|
キーワード | 血液脳関門 / 血管原性脳浮腫 / ラット |
研究概要 |
ラット脳より内皮細胞,ペリサイト,アストロサイトを分離し,共培養して血液脳関門(BBB)in vitro modelを作成した.advanced glycation endoproducts (AGEs)により増強される低酸素化再酸素化負荷と血管原性脳浮腫の実験を行った.さらに低酸素化再酸素化に対しcilostazolがBBBに与える影響について検討した.AGEsはnormoxiaの条件下ではTEERに影響を与えなかったが,低酸素化再酸素化では有意ににTEERを減少させた.一方,cilostazolはAGEs投与下のH/Rの条件でTEERを回復させた.免疫染色でtight junction蛋白のclaudin-5の形態的評価を行い,western blot analysisでは定量的評価を行った.AGEsは低酸素再酸素化の条件でclaudin-5の発現を減少させたが,cilostazolはclaudin-5の発現を回復させた.さらに,AGEsは細胞外のTGF-β1の産生を上昇させた.cilostazolはその産生を抑制しtight junctionの統合性を回復した. また,同様に作成したBBB in vitro modelを用いて,脳腫瘍(glioblastoma) cell lineのLN-18と肺癌cell lineのNCI-H1299を用いてBBB機能と細胞浸潤について検討した.NCI-H1299はバリアを通過し,BBB機能をLN-18は通過しなかった. fibroblast growth factor 2 (FGF2)はoccludinとZO-1の発現を上昇させ,BBB機能を上昇させた.FGF2の中和抗体を投与するとその効果は抑制された.BBBと細胞浸潤および脳転移についての病態解明に発展する可能性がある.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究で血液脳関門の低酸素化再酸素化障害の一部が明らかになった.既に学会で発表し,論文投稿に至っている.
|
今後の研究の推進方策 |
腫瘍細胞の血液脳関門に対する作用を検討することで,腫瘍細胞の浸潤,転移のメカニズムを解明できる可能があり,研究を発展させている.
|
次年度の研究費の使用計画 |
昨年度と同様に実験動物,分子生物学的解析試薬,論文制作,学会参加などに使用予定である.
|