研究課題/領域番号 |
23592096
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
森岡 基浩 久留米大学, 医学部, 教授 (20295140)
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研究分担者 |
倉津 純一 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (20145296)
矢野 茂敏 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (60332871)
秀 拓一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40421820)
河野 隆幸 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (50448536)
長谷川 雄 熊本大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40599114)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | もやもや病 / 動脈壁組織 / 脳虚血 |
研究概要 |
もやもや病は、頭蓋内の両側内頸動脈の終末部に慢性進行性の狭窄とその進行に付随して周囲に側副血行路として新生血管網を生じる疾患である。本疾患は頭蓋内の血管病変が主体であり、その病因を明らかにするには血管自体の解析が必要である。その病理は1)平滑筋の変性細胞死による中膜の菲薄化2)内弾性板の彎曲、多層化 、3)血管平滑筋増殖による内膜肥厚とされている (Surg.Cereb.Stroke 37;321-337,2009)。本来これらの血管の病変を詳細に検討できれば病因が明らかになると考えられるがこれらのデーターはすべて剖検から得られたものであり、もやもや病の病因研究を困難としている主な点は病変の主体が頭蓋内の血管であり生検が不可能(困難)なことである。 以上の理由から我々はこのもやもや病患者の治療上問題のない血管組織を採取しその病因を解析するべく今回の研究を行っている。血管組織の対象はもやもや病に対する浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術(STA-MCA anastomosis)時にごくわずか採取可能な中大脳動脈壁、あるいは完全閉塞した中大脳動脈である。1)現在までに15例のもやもや病症例の手術時の中大脳動脈末梢部(M4)の動脈壁を採取する事ができている。また同時に2)脳脊髄液、硬膜組織なども採取し保存している。組織所見としては中大脳動脈に内弾性板の彎曲/多層化が確認され、内皮細胞、合成型平滑筋細胞の増殖が確認されている。また同時に非侵襲的解析としてMRI-CISS(constructive interference in steady-state)画像による血管外径の解析も行っている。これらの所見からは現在のところ内頸動脈/中大脳動脈ともに血流低下の前より血管外径の縮小が確認されつつある。従ってもやもや病では血管の狭窄機転は収縮性の変化が主体であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はまず必要検体の採取、解析方法の確立が重要であったが検体の収集が可能であり1年間としてはまずまずの検体数と考えられる。しかしながら検体は非常に微小であり十分な解析に耐えるかどうかも今後の課題である。組織学的検討では通常の血管病変の免疫染色等は行えているが、疾患特異的な分子の発見までには未だ至っていない。今後どのような分子が考えられるが検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
1)熊本大学生命科学研究部腫瘍医学講座と連携しプロテオミクス解析により疾患関連の分子の解析を進める。2)同時に血管壁のcDNA作成、Array解析も行い責任分子解析を蛋白レベル、遺伝子レベルを双方から進められる体制を整える。3)その他にも血管病態の解析としてMRI-CISS画像解析を進め組織所見とも総合してもやもや病の血管の状態の解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子解析に必要な蛍光撮影用LED光源(ATTO社) 300,000 円その他研究費は研究試薬購入に充てる予定である
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