研究課題/領域番号 |
23592096
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
森岡 基浩 久留米大学, 医学部, 教授 (20295140)
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研究分担者 |
倉津 純一 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (20145296)
矢野 茂敏 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (60332871)
秀 拓一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40421820)
河野 隆幸 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (50448536)
長谷川 雄 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (40599114)
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キーワード | もやもや病 / 血管病理 |
研究概要 |
平成24年度はもやもや病における脳動脈の病理学的変化について可能な限り解析することを主眼としたが本来手術で得られる検体は非常に少量であり十分な検討を行うのには困難であった。そこで2つの方法にて検討した。1)倫理的に許される採取動脈の病理組織学的検討(手術前に同意を得て採取)2)放射線学的に脳動脈の病理を反映する所見の検討。以下に平成24年度に得られた成果をそれぞれ記載する。 1)手術標本:もやもや病手術中に明らかに閉塞所見を呈していた中大脳動脈末梢部(M4)部を3例から摘出した。これらの断面を組織学的に検討したところ内弾性板が重層、屈曲しておりさらに内膜の肥厚を認めた。この所見は他の疾患には見られず今まではもやもや病の内頸動脈における特徴的な所見とされていたがこのように末梢血管にも見られる所見であることが発見された。 2)MRI-CISS画像:three-dimensional (3D) constructive interference in steady-state のIC-M1-A1のすべてが確認されるcoronal sectionにて内頸動脈(IC), 中大脳動脈水平部(M1)の動脈外径をもやもや病患者51例、健常者41例、動脈硬化性脳動脈狭窄・閉塞症患者12例において測定した。また血管の内径の指標として脳血管撮影(DSA)からIC, M1の血管内径を評価し外径と比較検討した。IC, M1ともに血管内径の狭窄の進行に先行して血管の外径の狭窄が進行していることが明らかになった。 本年度の結果からもやもや病の血管狭窄は動脈硬化性病変のような血管壁の肥厚などによる2次的血管内腔狭窄ではなく、むしろ収縮性の変化が先行する病態であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予想外に達成困難な点としてはやはり倫理的に許される採取可能な血管病変の量が微小であるため十分な解析に供することができないことがあげられる。一部は解析可能であっても症例数を増やして統計学的な解析には現時点では不十分である。 しかしながら、この点を考慮してほかの方法論を発見することができた。上記のMRI-CISS法による解析は思いのほかに十分な情報と症例数をえることができ非常に有用なデーターを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
微少検体のためデーターの収集に困難があり収集に時間を要している研究はそのまま続行し少しずつ検体、データーの収集を行う。同時にgenmic DNAからRNF213遺伝子のmutationについて検討しもやもや病の臨床型と比較する。 平成24年度に得られた血管病変の進行について解析を行う。定期的MRI検査によりその進行を検討、同時にもやもや病の患者の長期的な予後調査を行い血管病変との相関を検討する。動物実験においてはモヤモヤ血管を実験的に再現しその病態を検討する
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次年度の研究費の使用計画 |
マウス用麻酔器が緊急で必要となり年度末に購入したため予算の微調整ができず一部繰り越しとなった。次年度はこれらの機材を用いて、動物実験、モヤモヤ血管の組織学的検討・遺伝子検索を行う。
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