研究課題
てんかん発作を誘発した動物モデルで惹起された多くの新生神経細胞は、脆弱で自然消退する。しかし少数ながら興奮性を獲得し、て んかん原生となり得る可能性をもつ新生神経細胞がある。神経栄養因子や炎症性メディエーターなどの脳内環境因子をコントロールすることにより異常興奮性神経細胞を不活化させ最終的に神経細胞死へと誘導し、てんかんを根治させる治療を構築することが本研究の目標である。本研究は基礎研究と臨床研究とのトランスレーショナルリサーチであり、てんかんモデルマウスの脳スライスを免疫組織染色、電気生理学的な評価をおこなうとともに、てんかん外科手術(焦点切除)が行なわれた側頭葉てんかん患者の 海馬の変化を病理組織を免疫染色して観察する臨床研究の両者を比較検討し解析している。 動物モデルは5週齢5WのC57/BLマウスにピロカルピン腹注によるてんかん発作誘発し、レトロウィルスによりgreen fluo rescent protein(GFP)を新生神経細胞にマーキングし、Patch-clamp法にて発火パターンを直接記録し細胞興奮性を検証した。環境因子としてSynaptic vesicle protein 2A (SV2A)に着目し、てんかん発作誘発後のlevetiracetam投与群においては新生神経細胞が減少している現象を確認した。ヒト難治性側頭葉てんかんの摘出海馬の海馬CA1,CA2, 歯状回(DG), 海馬支台(SC)各部位で、免疫組織染色 を行ない、海馬硬化症,非海馬硬化症の相違を検討したところ、海馬硬化症では細胞外に放出したHigh Mobility Group Box 1(HMGB1)が、Toll様受容体(TLR)の内因性リガンドとして働いており、局所的に HMGB1-TLR pathwayの炎症反応の増幅サイクルがあり、海馬硬化に関与していることが判明した。これらの現象から、後天的な環境因子の変化によりてんかん原性をコントロールできる可能性が示唆された。
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