研究課題/領域番号 |
23592108
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
糟谷 英俊 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50169455)
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研究分担者 |
恩田 英明 東京女子医科大学, 医学部, その他 (60185692)
米山 琢 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90318105)
赤川 浩之 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (60398807)
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キーワード | 脳動脈瘤 / 感受性遺伝子 / 次世代シーケンサー |
研究概要 |
研究代表者らは先行研究で85の脳動脈瘤家系を用いた罹患同胞対ゲノムワイド連鎖解析を完了している。この研究で、染色体7q11領域に疾患との連鎖を報告している。これら罹患同胞対家系の長期フォローにより、子の世代に新たに罹患者を生じた家系が認められた。本研究ではこの家系に注目し、感受性遺伝子の特定を目的に研究を行った。本家系は罹患者7名を有する脳動脈瘤大家系であり、罹患メンバー4名および非罹患メンバー3名からゲノムDNAのサンプリングができた。これら7名について次世代型シーケンサーSOLiDシステム(ライフテクノロジーズ)による網羅的配列解析を行った。このうち、発端者1名については全ゲノムシーケンスおよび全エクソームシーケンスを、残り6名については全エクソームシーケンスを行っている。さらに、SNPアレイを用いた全ゲノム100万SNPのジェノタイピングも合わせて行い、家系メンバーで共有されるIdentity-by-descent(IBD)セグメントを明らかにして罹患者で共有されている変異を高精度に抽出できるようにした。このように複数の配列解析方法を組み合わせることにより、structural variant(SV)などもカバーできるようにした。さらに、脳動脈瘤はいわゆる多因子疾患であるため、解析にあたっては不完全浸透や表現型模写の存在を想定せねばならない。本研究では、不完全浸透が存在する様式、および表現型模写が1例存在する様式で、それぞれ有望な候補遺伝子を特定することができた。特に、後者の様式で特定された遺伝子は、研究代表者らが先の連鎖解析で見出した7q11に存在していた。近年、脳動脈瘤においてもゲノムワイド関連解析(GWAS)が行われているが、検出された関連遺伝子は、かつての連鎖解析で検出された領域と全く一致していない。いわゆる「missing heritability」を検出するため、本研究のように遺伝的背景が濃厚な家系に注目した網羅的解析は有用であると考えられた。
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