研究課題/領域番号 |
23592110
|
研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
横田 千晶 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (80300979)
|
研究分担者 |
小久保 喜弘 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (20393217)
|
キーワード | ペントシジン / 急性期脳卒中 / バイオマーカー |
研究概要 |
急性期脳梗塞例を対象として、終末糖化産物 (AGE)の一つであるペントシジン(PENT; pentosidine)の血中濃度を測定し、危険因子、病型、再発予後との関連を調べた。2008年8月~2010年12月に入院した急性期脳梗塞401例(男性255例、平均73歳)を前向き登録した。発症3日以内に測定したPENTを四分位に分け、臨床パラメーターを4群間で比較した。対象はアテローム血栓性梗塞58例、ラクナ梗塞74例、心原性脳塞栓症133例、その他136例であった。PENTの中央値はそれぞれ123、135、186、157 pmol/mLであり、アテローム血栓性梗塞で有意に低かった(p<0.001)。PENT高値は、単変量解析では、女性、加齢、喫煙習慣なし、body mass index低値、脂質異常症なし、脳卒中既往、入院時拡張期血圧低値、入院時NIHSS高値、推算糸球体濾過率(eGFR)低値と関連し、多変量解析では、糖尿病(Exp(β);2.18,95%信頼区間;1.15-4.13)、脂質異常症(0.35、0.20-0.63)、脳卒中既往(2.28,1.32-3.94)、eGFR(0.97,0.95-0.98)と関連した。3ヶ月目までの心血管疾患事象/全死亡は61例(再発37例、脳卒中死亡5例、脳外科手術8例、狭心症1例、非心血管死亡10例)、転帰良好(modified Rankin Scale<2)は167例であった。PENT第4四分位群は、他の3群に比べて転帰良好例が有意に少なかった。PENT4群間で心血管疾患事象/全死亡および脳卒中再発死亡のいずれも有意差はなかった(Kaplan Meier法)。脳梗塞急性期の血中PENT高値は転帰不良例が多いものの、短期的な心血管事象や脳卒中再発死亡の指標ではなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.平成24年度の研究として昨年度計画していた、advanced glycation endproductsのひとつであるpentosidineの測定を開始し、脳卒中再発予後との関連につき解析した。 2.平成23年度は、急性期脳卒中例に対してRAGE,esRAGE,petosidineを測定したが、平成24年度は健常例でのRAGE,esRAGE,petosidineの測定を行った。 3.平成23年度は、急性期脳卒中例と健常例での可溶型LOX-1の測定を行ったが、平成24年度は非脳卒中例(てんかん例)における可溶型LOX-1の測定を行った。 4.研究当初計画していた急性期脳卒中例に対する診断・予後調査は順調に進んでいる。予防検診部との共同研究である健常例での予後調査は行えず、健常例での上記バイオマーカー測定を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
1.平成24年度に測定した健常例でのRAGE,esRAGE,petosidineの結果を、急性期脳卒中例と比較検討する。 2.平成24年度に測定した非脳卒中例(てんかん例)における可溶型LOX-1の測定を急性期脳卒中例と比較検討する。 3.平成23年度に収集した急性期脳卒中例における経時的な可溶型LOX-1の測定を行い、経時変化の解析を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
バイオマーカー測定費、及び測定に必要な消耗品の購入(50万円)、研究推進に必要な情報収集費、研究成果発表に関わる費用(40万円)、論文作成(英文校閲、別刷り代)費(50万円)に充てる予定である。 残額につきましては、24年度末から25年度初めにかけ、バイオマーカー測定費用の発生が見込まれたため、それに見合う金額を残しました。
|