研究課題
【目的】膠芽腫に対して欧米では分子標的薬剤を使用した臨床試験が盛んに行われている。膠芽腫に対する多くの標的分子のうち、AktとNotchは膠芽腫細胞の増殖や浸潤に密接に関連することから、その阻害剤を使用した臨床試験が積極的に進められている。しかしながら、これまでの結果からはAkt阻害剤、Notch阻害剤の単剤使用では顕著な腫瘍制御効果は得られていない。本研究では両阻害剤の併用による膠芽腫細胞株の増殖と浸潤の抑制効果を検討した。【方法】臨床試験に使用されているAkt阻害剤:MK-2206とNotch阻害剤:MRK-003を使用した。MK-2206とMRK-003の単独あるいは併用添加による膠芽腫細胞株(U87, U251)に対するAktリン酸化、Notchシグナル阻害効果を確認した。引き続きAlamar Blue増殖アッセイとBoyden chamber浸潤アッセイを行った。【結果】MK-2206は膠芽腫細胞株のAktリン酸化を効率よく阻害した。MRK-003はNotchシグナルを抑制するのみならずAktのリン酸化も濃度依存性に阻害した。両者の併用によりAktリン酸化の阻害効果は増強された。両者のいずれの単独使用でも膠芽腫細胞株の増殖・浸潤は濃度依存性に抑制された。併用により細胞浸潤抑制効果はAktリン酸化阻害依存性に増強されたが、増殖抑制効果はAkt単独添加と同程度にとどまりAktリン酸化非依存性であった。【結語】Akt阻害剤とNotch阻害剤の併用療法は増殖抑制には効果が少ないが浸潤抑制には効果的であることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
これまでに該当年度の研究到達目標であったAkt阻害剤とNotch阻害剤のグリオーマ細胞に対する効果とそのシグナル伝達変化を解析することができた。
研究計画の変更は無い。GSK3β阻害薬剤のin vivo効果を解析する。
平成25年度には動物実験が必要となり動物購入・管理の費用が計上される。これ以外は細胞株を使用した分子生物学・細胞生物学的実験に必要な消耗品への充当とwestern blottingに要する抗体購入に伴う消耗品のための費用がほとんどである。また成果発表のための旅費、作成する論文のために校閲と投稿料の費用を確保する。
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