研究課題
神経膠腫における浸潤機構のメカニズムの解明とその阻害について検討した。悪性神経膠腫患者において、手術時にナビゲーターで浸潤部位、腫瘍センターを別個に組織標本として採取した。さらに腫瘍センターからの細胞株樹立、浸潤部位からの細胞株樹立を行った。グリオブラストーマ株細胞において培養ビデオ撮影にて、腫瘍の動的な性格を明らかにした。その結果、A172細胞はT98G細胞に比較して細胞運動は高度であった。U87細胞とU251細胞の動きを比較すると U87細胞の動きは緩徐であった。患者より樹立細胞株を2症例作成することができた。これらは非常に運動能力が高く、今後、ヌードマウスなどへ移植系が作成可能と思われる。樹立細胞株はスフェロイドを形成し、放射状に細胞浸潤が見られ、運動能力の高い(いわゆる浸潤能が高い)細胞のサブクローニングを行う予定である。インターフェロンベータにてそれぞれの細胞にあたえて、浸潤抑制ができるか検討した。インターフェロンを50000単位/mlの濃度で細胞に与えたが、細胞障害は80%であった。その濃度でも細胞運動に関しては抑制されている印象であった。これらを定量的にビデオ解析ならびにinvasion assayで検討する予定である。低酸度や低pHでの細胞負荷、ならびにケモカイン投与により細胞運動が抑制あるいは更新するか検討中である。実験に先立ちanoxic chmberによる予備実験を行った。チャンバー内の酸素濃度ならびに持続時間を設定し細胞死に至らない条件を決定した。HIFの誘導により細胞への低酸素負荷を証明した。低pH状態は培養液中のHEPESバッファーと重炭酸バッファーの混合により任意のpH培養液を作成出来た。細胞内pHもBCECFにて蛍光測定できた。
2: おおむね順調に進展している
昨年度は細胞実験を行う予定であり、おおよそ細胞における浸潤刺激の条件を設定できた。臨床例の組織標本も集積しており、次年度は動物実験ならびに人体組織標本を用いた研究に着手できる
細胞から動物実験にステップアップする。ケモカインやRHOキナーゼ阻害なども考慮する。細胞株が樹立できたので移植グリオーマモデルを作成し、浸潤先端ならびに阻害方法を動物レベルで明らかにする
動物実験を行うので、消耗品として動物飼料代金、実験動物費、組織切片を作成するための試薬などを要する見込みである。計画どおりの妥当な研究費実行がなされる予定である
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Brain Tumor Pathol.
巻: in press ページ: in press
10.1007/s10014-012-0093-1