iPS細胞をベクター細胞として自殺遺伝子療法に応用できるかiPS細胞の移動能(腫瘍への指向性)を検証することを研究目的とし下記の結果を得た。 ①iPS細胞のin vitroでの遊走能を検証した。2層式のchamber(Matrigel invasion assay)を用い、各種glioma cell lineのcondition medium(CM)へのiPS細胞の移動能を検証した。下層にCMでなく、悪性グリオーマが分泌する成長因子でも移動能みられ これは成長因子の一次抗体で抑制された。 ②マウス脳腫瘍モデルを作成した。マウス(C57BL/6)を用い吸入麻酔下にマウスを脳定位固定装置に固定し、頭頂骨に直径1mm程度の骨窓を作成し、injectorを使用し、GL261を約1×105個程度、脳内に移植することにより約3週間程度で確実に腫瘍死するモデルを確立した。 ③iPS-SPIO細胞の移動能実験は断念した。SPIO(Resovist)をiPS細胞にtransfectionしiPS-SPIO細胞を作製し、マウス脳腫瘍モデルを用い、対側脳にiPS-SPIO細胞移植し経時的に動物用3T-MRIを撮像しin vivoでの移動能を検証しようと試みたが、この方法での検証は困難であった。 ④そこで、組織標本で確認する方法に変更した。マウス脳腫瘍モデルを用い、その対側脳にBrdUでラベルしたiPS細胞を移植。7日後に脳を取り出し、脳のスライス標本を作成し、BrdUの抗体を用いて、iPSがGL261のある対側脳に移動することを検証した。
|