研究課題/領域番号 |
23592124
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩月 幸一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80346204)
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研究分担者 |
吉峰 俊樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00201046)
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キーワード | 脊髄損傷 / 神経再生 / 血管新生 / 成長因子 / 骨髄幹細胞 / 嗅神経鞘細胞 |
研究概要 |
神経再生には血管新生が伴うことが重要である。骨髄幹細胞(Bone Marrow Stromal Cell:BMSC)はVEGF(血管内皮細胞成長因子)受容体あるいは細胞間相互作用を介したNotch 受容体の刺激により、血管内皮細胞のマーカー分子の発現が増加することが報告されている。これまでの当グループの実験で、OECは培養中に各種神経栄養因子に加え、VEGFとHGF(肝細胞成長因子、血管新生も促進する)を産生・遊離することが示された。そこで本課題では、OECとBMSCとの共培養で、BMSCでの血管内皮細胞マーカー遺伝子発現量を検討した。BMSCの培養上清(conditioned medium)はOECの増殖に影響を与えなかったが、OECのconditioned mediumはBMSCの増殖を促進した。しかしconditioned medium中のVEGF遊離量は一般にBMSCの血管内皮系遺伝子の発現を誘起する濃度には達しなかった。そこで、BMSCのNotch受容体を刺激するため、直接共培養を試みた。OMではこれまでNotch ligandであるDLL1, DLL4の発現が報告されているが、細胞は特定されていなかった。今回、培養OECにはDLL1が発現していることが免疫染色で認められた。OECとBMSCの増殖速度が違うため種々の量比で共培養を行い、VCAM1, VE cadherin, von willebrand factorの遺伝子発現をリアルタイムPCRで解析した。その結果、各遺伝子の発現量はOECによる相乗効果はなく、BMSCの細胞量に相加的に依存した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BMSCでの血管内皮細胞関連遺伝子の誘導において、OECとの直接共培養を試みたが、二次元培養のためOECのNotch ligandが有効に作用しなかったことが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
直接共培養の利点を生かすため、ゲルによる3次元培養を試みる。これまで多く用いられているコラーゲン等多くは重合前に酸性状態にあり、細胞生存に有利ではない。そこで、中性の自己集合ペプチドゲルについて、in vitroでBMSC・OECはじめ、神経系細胞・シュワン細胞等の増殖・分化を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物(ラット)、培養用消耗品(血清を含む)、抗体、ELISA kit等を計上している。
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