研究課題/領域番号 |
23592125
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
黒住 和彦 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20509608)
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研究分担者 |
徳永 浩司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40294467)
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キーワード | 腫瘍溶解性ウイルス / 分子標的薬 / Cilengitide |
研究概要 |
我々は新規分子標的薬(Cilengitide)と併用によりOV 治療の効果を増強することができたが、この結果を発展させるために、抗血管新生作用を持つ、新規腫瘍溶解性ヘルペスウイルスRAMBO を使用した。Cilengitideの投与法を全身性投与法に変えたところ、局所投与と同様にRAMBOとcRGDペプタイドの併用効果が得られた。腫瘍はU87dEGFRなどのヒト脳腫瘍細胞系列を使用し、生存曲線にて有意な生存期間の延長が認められた。Cilengitide により OV の腫瘍溶解を増強するメカニズムをさらに調べるために、gene microarray を行った。OV とOV + Cilengitide の検討の前にGene microarray は薬剤非処理の悪性グリオーマ細胞株と Cilengitide 処理された細胞株を比較した。DNA マイクロアレイは CodeLinkTM Human Whole Genome Bioarray を用い、発現解析、遺伝子オントロジー解析、パスウェイ解析を行った。Cilengitide 処理 16 時間後に 265 遺伝子の発現変化を認めた。遺伝子オントロジー解析では、activation of pro-apoptotic gene products に関連する遺伝子群が over-represent されていた。パスウェイ解析においては、Apoptotic cleavage of cellular proteins や TNF receptor signaling pathway がover-represent されており関連遺伝子である caspase 8 等が up regulate されていた。OV と OV + Cilengitide の併用による遺伝子発現の差を調べる gene microarray は今後検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、分子標的薬CilengitideによりOVの腫瘍溶解を増強するメカニズムをさらに調べるために、gene microarray とプロテオミクスを行う予定であったところ、今回は、OV とOV + Cilengitide の検討の前に、Gene microarray は薬剤非処理の悪性グリオーマ細胞株と Cilengitide 処理された細胞株を比較し、アポトーシスとの関連を示唆する結果が得られたため、おおむね順調であると判断した。OV と OV + Cilengitide の併用による遺伝子発現の差を調べる gene microarray は今後検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
OV と OV + Cilengitide の併用による遺伝子発現の差を調べる gene microarray は今後検討し、ターゲット遺伝子を絞る。決めたターゲット遺伝子に対して1) Target遺伝子の組み込まれたプラスミドを用い、脳腫瘍細胞株にtransfectionし、強発現させ、O Vに対する感染効率、複製効率への影響について調べる。2) Target抗体を用いてTargetの効果を抑制することにより、OVに対する感染 効率、複製効率への影響について調べる。3)Targetに対するsiRNAを用い、抑制させることにより、OVに対する感染効率、複製効率へ の影響について調べる。統計学的データ解析を行い、学会発表・論文投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に於いて発生する経費は、モデル用のマウス、ラット、腫瘍細胞の培養・維持、タンパク定量や免疫染色用の抗体やキットなど、 研究に直結してくる消耗品が大半を占める。また、脳腫瘍の分野は、神経科学の分野の中でも日進月歩の感があり、各種関連学会に参 加して脳腫瘍についての知識を最新のものに保つ必要があり、小額の旅費は必要である。これら全ては研究に必要不可欠なものであり、研究経費として妥当性もある。
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