研究課題/領域番号 |
23592128
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
影治 照喜 徳島大学, 大学病院, 特任教授 (70294684)
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研究分担者 |
溝渕 佳史 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80547993)
倉敷 佳孝 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (10597503)
永廣 信治 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60145315)
牟礼 英生 徳島大学, 大学病院, 助教 (00624355)
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キーワード | Wntシグナル / REIC/Dkk-3 / アポトーシス / glioblastoma |
研究概要 |
抗腫瘍遺伝子であるDkkファミリーのReduced expression in immortalized cells/Dikkopf-3(REIC/Dkk-3)が脳腫瘍組織で低下しており、脳腫瘍の増殖に関係していることを見出した。また脳腫瘍細胞系にREIC/Dkk-3をplasmid を用いて遺伝子導入しREIC蛋白を過剰発現させると、ミトコンドリアを介したアポトーシスが誘導されることを見出し、脳腫瘍治療におけるREIC/Dkk-3の重要性を証明した。 1.iCSCマウス脳腫瘍モデルの確立 従来我々が作製、使用していたxenograftモデルが、ヒトGBM治療に直接的に応用できないことが指摘され、慶應義塾大学医学部先端医科学研究所遺伝子制御研究部門 佐谷秀行教授の研究室で確立された脳腫瘍モデルを用いた。癌抑制遺伝子ノックアウトマウスより採取した神経幹細胞にレトロウイルスベクターを用い癌遺伝子を導入し、induced Cancer Stem Cell (iCSC)を作製した。このiCSCはiPS細胞の原理を応用してiCSCをwlid-typeマウスの脳内に移植し、組織学的にも極めてヒトglioblastomaに近い腫瘍を形成され、MRIで脳腫瘍の評価が可能になっている。 2. iCSCマウス脳腫瘍モデルを用いてAd-REICによる遺伝子治療法の開発 アデノウイルスベクターによる-REIC遺伝子導入によるGBM細胞系に対する細胞増殖抑制効果をin vitro系およびxenograftモデルで確認し、細胞増殖抑制効果のメカニズムがWntシグナル上流でのWnt蛋白とその受容体の優先的な結合阻害が下流で働く機能分子の抑制につながることを明らかにした。この結果を論文化しneuro-oncologyに投稿し、review中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23から24年度にかけての計画は、Induced Cancer Stem Cell (iCSC)マウス悪性神経膠腫モデルの作製手技を確立すること、Ad-REICの悪性神経膠腫に対する効果とその作用機序を明らかにするとともに、効果増強作用の可能性が高いと推察される場合には、確立した脳腫瘍モデルでこの増強効果を検討することであった。24年度にはさらに、REIC/Dkk-3遺伝子導入により脳腫腫瘍縮小効果がみられたマウスと未治療マウスの脳組織内のmicroRNAの解析から、新たに腫瘍増殖、生存、転移などに関与する分子と抗腫瘍効果に寄与する分子を探求する試みを行い、標的分子が検出できた時点でREIC/Dkk-3遺伝子との関連性について調べた。慶應義塾大学医学部先端医科学研究所遺伝子制御研究部門 佐谷秀行教授の研究室で確立された脳腫瘍モデルを用いて行った。一連の手技の技術習得を終え、形成された腫瘍が組織学的にGBMに類似していることを確認しており、MRIで脳腫瘍の評価が可能になっている。アデノウイルスベクターによる-REIC遺伝子導入によるGBM細胞系に対する細胞増殖抑制効果をin vitro系およびxenograftモデルで確認した。またこの細胞増殖抑制効果のメカニズムがWntシグナル上流でのWnt蛋白とその受容体の優先的な結合阻害が下流で働く機能分子の抑制につながることを明らかにすることができ、ほぼ当初の計画通りに成果を上げることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後 iCSCマウス脳腫瘍モデルおよびヒトGBM細胞脳腫瘍モデルにAd-REICを脳内局所投与し、抗腫瘍効果を評価する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果をまとめ、著名な英文雑誌に投稿、review中であり、論文掲載諸費用、別刷購入等に使用する予定である。次年度繰越額は、試薬等消耗品購入に使用する予定である。
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