研究課題/領域番号 |
23592132
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
河原 康一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00400482)
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キーワード | 核小体ストレス応答 / 発がん / 細胞増殖 / p53 |
研究概要 |
これまで申請者らは、核小体ストレス応答を制御する新規分子PICT1を見出し、PICT1の発現低下や欠損による核小体ストレス応答は、DNA障害なしにp53を増加させ腫瘍細胞の増殖やマウスの腫瘍化進展を著しく抑制すること、PICT1の発現が低下したヒト腫瘍患者の予後は良好となることを見出した(Nature Med 2011)。この結果から、核小体ストレス応答は発がんの抑制に極めて重要であり、核小体ストレスは魅力的ながんの治療標的であると考えられた。 そこで申請者はPICT1/核小体ストレス経路を標的とした薬剤のスクリーニングシステムの構築を進めている。PICT1とRPL11との結合は核小体ストレス応答を抑制することから、これら分子の結合を測定できるELISAシステムの構築を行った。さらに、核小体ストレスに特徴的であるリボソームタンパク質とMDM2との結合を計測するレポーターシステムも併せて構築した。 今後、これらの測定システムによって、核小体ストレスを誘導しp53増加による腫瘍細胞の増殖を抑制できる薬剤を探索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに、グリオーマ等の腫瘍におけるPICT1の役割を検討し、PICT1/核小体ストレス応答経路がp53増加による腫瘍細胞の増殖を抑制すること、この経路は腫瘍患者の生存期間の延長につながり予後良好に作用すること等を明らかにした。この結果を受け、PICT1/核小体ストレス応答経路を標的とした薬剤のスクリーニングシステム構築を進めており、有用な結果が得られつつある。本年度は、スクリーニングシステムの精度や感度をさらに高め、薬剤のスクリーニングを実施できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
前述のようにPICT1を起点とした核小体ストレス応答経路は、魅力的な抗癌治療薬の標的であると考えられたため、現在この経路を検出できるレポーターシステムの構築を行っている。本年度は、レポーターシステムの安定発現株を作製すること、検出タグの位置や構造を改変することで、精度や安定性を高める。次に、ここで構築したレポーターシステムを用いて、化合物ライブラリーによるスクリーニングを実施する。得られた薬剤は、p53が保たれた腫瘍に投与し、in vitro、in vivo, で腫瘍進展の抑制を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬類・酵素(733千円)/動物麻酔薬、ホルマリン、パラフィン、制限酵素、遺伝子導入試薬、プライマー、細胞培養液、抗生物質、BSA、蛋白質マーカー、細菌培養液など、血清・抗体(350千円)/1本25千円x6本、抗体1本50千円 x 4本、 プラスチック器具(300千円)/チップ・チューブ類150千円、培養ディッシュ150千円、 マウス購入・飼育料 (150千円)/マウス購入費39千円(ヌードマウスなど)、マウス飼育飼料費111千円、 国内旅費(100千円)/国内成果発表100千円
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