研究課題/領域番号 |
23592133
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田中 邦彦 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80380955)
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キーワード | 血中循環がん細胞 / 脳転移 / がん微小環境 |
研究概要 |
in vivoイメージングにて各臓器への転移を観察している高崎健康福祉大学の村上孝教授より譲渡いただいた脳転移性ヒト肺癌細胞株2種を用い、GFP高発現癌細胞株を樹立した。これらの細胞株を用いて脳転移in vivo セレクションを3回実施した。具体的には、ヌードマウスの肺内に癌細胞をマトリゲルとともに播種し、飼育を続け、衰弱あるいは体重減少を認めた時点でサクリファイスして、脳を摘出した。脳実質を細切、酵素処理後、G418入りの培養液を用いて初代培養した。GFP陽性細胞をクローニングシリンダーを用いてサブクローニングし、培養後、再びヌードマウスの肺内に播種、これを3回繰り返すことにより、高脳転移性肺癌細胞株を樹立した。この癌細胞を培養にて増やしたのち、再びヌードマウスの肺内に播種し、最終的に原発巣、脳、全血液を採取した。原発巣および脳実質からはGFP陽性肺癌細胞を回収、培養することが可能であったが、血液からはGFPをマーカーとするセルソーティングでは、陽性細胞を回収することができなかった。再度高脳転移性肺癌細胞をヌードマウスに播種し、全血を採取する時期を前後にずらして採取し、セルソーティングを行ったが、回収は不可であった。FACSを用いたセルソーティング以外に、MACSによるセルソーティングも試みたが、同様の結果であった。採取した全血を低接着性プレートにおいて、スフェロイド培養と同様の方法で培養を行ったが、GFP陽性細胞のスフェロイドを得ることはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vivo セレクションを3回実施し、高脳転移性肺癌細胞株を樹立することに成功した。これを用いて原発巣、脳、全血より癌細胞の回収を試みた。原発巣、脳実質からの回収、培養は成功したが、全血よりの癌細胞の回収は未だ成功していない。
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今後の研究の推進方策 |
全血よりの癌細胞の回収のために、ヌードマウスに同所移植し全血を回収するまでの期間をさらにこまかく割り振ったグループを設定し、それぞれより全血を採取してソーティングを行う。全血の回収のみならず、ヌードマウス血管の還流システムを作成し、圧をかけながら全血を回収することにより、血管内腔に接着した癌細胞の回収を試みる。全血からの癌細胞の回収が成功した段階で、マイクロアレイ解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度より繰り越された研究費の一部を全血よりの癌細胞の回収にかかる経費として使用し、繰り越しおよび平成25年度平成24年度配分が予定されている研究費については、マイクロアレイ解析、BBBキットを用いたがん微小環境解析ための消耗品費および旅費として使用する予定である。
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